アル・アインのオアシスは4,000年前から人が住んでいる
ドバイの喧騒から車で1.5時間。UAEの内陸都市アル・アインには、ユネスコ世界遺産のオアシスが残る。砂漠の中の緑、ファラジ灌漑、そして「UAE発祥の地」の物語を紹介する。
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ドバイから車で東に1.5時間走ると、砂漠の中に突然、ナツメヤシの林が現れる。
アル・アイン(Al Ain)。アラビア語で「泉」を意味する。人口約80万人、アブダビ首長国で2番目に大きな都市であり、UAEで唯一の完全な内陸都市だ。海がない。高層ビルもほとんどない。代わりにあるのは、4,000年以上の歴史を持つオアシスだ。
世界遺産のオアシス
アル・アイン・オアシスは、2011年にユネスコ世界遺産に登録された。UAE初の世界遺産だ。
約1,200ヘクタールの土地に147,000本以上のナツメヤシが植えられている。このオアシスを維持しているのが「ファラジ(Falaj)」と呼ばれる古代の灌漑システムだ。
ファラジは、山の地下水を重力で低地に引き込む水路だ。3,000年以上前にこの地域で開発されたとされ、ポンプを使わずに水を分配する。アル・アインには複数のファラジが現存しており、一部は今も機能している。
この灌漑システムのおかげで、砂漠のど真ん中にナツメヤシ、マンゴー、オレンジ、バナナなどの果樹園が維持されてきた。ドバイの人工島やアブダビの超高層ビルが「人間が砂漠に作った最新のもの」だとすれば、アル・アインのオアシスは「人間が砂漠に作った最古のもの」だ。
UAE発祥の地
アル・アインにはもうひとつの重要な肩書がある。「UAEの建国者の出身地」だ。
シェイク・ザーイド・ビン・スルターン・アール・ナヒヤーン(1918〜2004年)は、アル・アインで生まれ育った。1966年にアブダビの首長に就任し、1971年にUAE建国を主導した。「建国の父」と呼ばれるシェイク・ザーイドの出身地であることが、アル・アインの特別な地位を支えている。
シェイク・ザーイド・パレス・ミュージアムは、ザーイドが1960年代まで住んでいた宮殿を博物館にしたものだ。入場無料。泥壁の建物は、石油発見前のUAEがどのような場所だったかを物理的に見せてくれる。
生活のペースが違う
アル・アインの生活は、ドバイやアブダビとは明確にテンポが違う。
渋滞が少ない。人口密度が低い。金曜ブランチの代わりに、家族でオアシスを散歩する。ジュベル・ハフィート(Jebel Hafeet、標高1,249m)の頂上まで車で登り、街を一望する。
家賃はドバイの3分の1以下だ。
| タイプ | 年間賃料 | 月換算 |
|---|---|---|
| 1ベッドルームアパート | 12,000〜22,000 AED | 約42,000〜77,000円 |
| 2ベッドルームアパート | 20,000〜35,000 AED | 約70,000〜12.3万円 |
| ヴィラ(3ベッドルーム) | 35,000〜60,000 AED | 約12.3〜21万円 |
UAE大学(UAEU)のキャンパスがあるため、学生と教職員のコミュニティが一定規模ある。アカデミックな雰囲気は、商業都市のドバイにはないものだ。
見どころ
アル・アイン・オアシス。 世界遺産。無料で散策できる。ナツメヤシのトンネルを歩く体験は、砂漠の国にいることを忘れさせる。
ジュベル・ハフィート。 標高1,249mの山。頂上までの道路(約12km)はドライブとサイクリングの定番。頂上からはアル・アインの市街地とオマーンの国境が見える。
アル・アイン動物園。 UAE最大の動物園(約400ヘクタール)。アラビアオリックス(UAEの国獣)やアラビアヒョウなど、アラビア半島固有の動物を見られる。
ヒリ考古学公園。 紀元前3000年頃の墓地遺跡。アル・アインの歴史が4,000年以上前に遡ることを示す考古学的証拠だ。
在住日本人にとってのアル・アイン
アル・アインに住む日本人は少ないが、ドバイやアブダビからの日帰り旅行先としては定番だ。
オアシスの散策は1〜2時間で十分楽しめる。ジュベル・ハフィートのドライブと組み合わせて半日コース。動物園を加えれば1日コース。
子ども連れにはアル・アイン動物園が特に好評だ。広大な敷地をサファリバスで回るエリアもあり、アフリカのサバンナの動物が砂漠の背景で見られるという不思議な体験ができる。
ドバイの「最新」とアル・アインの「最古」を往復することで、UAEという国の振り幅が見えてくる。50年前の建国者が泥壁の宮殿に住んでいた国が、今は火星に探査機を飛ばしている。その距離感は、実際にアル・アインに立つと体で理解できる。
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