UAEのCompound(コンパウンド)生活——塀の中の小さな街
UAE在住の外国人駐在員が多く住むCompound(囲われた居住区)。プール・ジム・公園つきのゲーテッドコミュニティの実態と、日本人駐在員のリアルな暮らしを描く。
この記事の日本円換算は、1AED≒42円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(AED)の金額を基準にしてください。
UAEに赴任する日本人駐在員の多くが最初に案内される住居がCompound(コンパウンド)だ。塀とゲートに囲まれた敷地内に、ヴィラ(一戸建て)やタウンハウスが並び、プール・ジム・テニスコート・子供の遊び場が完備されている。塀の外は50度の砂漠気候。塀の中は緑の芝生と噴水。この対比がCompoundの本質だ。
Compoundとは何か
Compoundは中東・湾岸諸国特有の居住形態で、外国人駐在員向けのゲーテッドコミュニティだ。24時間警備員が常駐し、入居者以外は立ち入れない。
アブダビとドバイでは性質が少し異なる。アブダビではCompoundが今も主流の駐在員住居だが、ドバイではマンション(アパートメント)やマリーナ地区のタワー型住居が増えている。
家賃の目安
| タイプ | アブダビ | ドバイ |
|---|---|---|
| 3ベッドルーム ヴィラ(Compound内) | 年間120,000〜180,000AED(約504万〜756万円) | 年間150,000〜250,000AED(約630万〜1,050万円) |
| 4ベッドルーム ヴィラ(Compound内) | 年間160,000〜220,000AED(約672万〜924万円) | 年間200,000〜350,000AED(約840万〜1,470万円) |
家賃は年払いが基本。小切手(チェック)1枚で年間一括払い、または2〜4枚に分割するのが一般的だ。日本の月払いの感覚とは全く違う。
日本人が多いCompound
アブダビでは、日本人学校(アブダビ日本人学校)の近くにあるCompoundに日本人家族が集中する傾向がある。企業の住宅手当の範囲内で選べるCompoundは限られるため、結果的に同じ会社・同じ業界の駐在員家族が同じCompound内に住むことになる。
これは良くも悪くも「日本人村」を形成する。子育て情報や生活の知恵が共有される一方で、人間関係が濃密すぎてストレスになるケースもある。
Compound内のルール
Compoundにはそれぞれ独自のルールがある。
- 騒音制限: 夜10時以降の騒音は禁止。プールの使用も時間制限がある
- ペット制限: 犬の飼育が禁止、または制限されるCompoundがある
- 駐車: 来客用の駐車スペースは限定的。事前にゲートに通知が必要
- メンテナンス: 建物の修繕はCompoundの管理会社が対応。レスポンスの速さはCompoundの質に直結する
夏場のCompound
6〜9月、外気温が45度を超える季節は、Compound内のプールが「温水プール」になる。冷却設備のないプールでは水温が35度以上に達し、泳いでも涼しくない。
一方で、この時期にCompound内の芝生が枯れないよう、大量の淡水化された水が撒かれている。UAE全体の水消費量の約60%が灌漑に使われているという統計は、Compoundの緑の芝生を見ると実感できる。
Compoundを選ぶか、タワーを選ぶか
ドバイでは「Compound派」と「タワー派」に分かれる。Compoundは家族向けで静か。子供が敷地内で安全に遊べる。タワーはシングルやカップル向けで、徒歩圏にレストラン・カフェ・ショッピングモールがある。
日本人家族にとっての判断基準は「子供の学校への距離」と「日本人コミュニティの有無」が大きい。会社が住宅を指定してくる場合はそもそも選択の余地がないが、自分で選べる場合は、内見時にCompound内を歩いて「ここに毎日住む自分」を想像してみるのが一番確実だ。