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UAEの法人税9%導入で何が変わったか——「無税の国」の終わりではない理由

2023年に導入されたUAEの法人税9%。免税ラインや適用範囲を整理し、なぜこの税率でも依然として企業を惹きつけ続けるのかを読み解く。

2026-08-02
法人税税金ビジネスフリーランス

この記事の日本円換算は、1AED≒44円で計算しています(2026年6月時点)。為替は変動するので、現地通貨(AED)の金額を基準にしてください。

「UAEは無税の国」というイメージは、もう半分しか正しくありません。2023年6月以降に始まる会計年度から、企業の利益に対して法人税が課されるようになりました。

ただし、これでUAEが「普通の国」になったかというと、そうとも言い切れません。税率も適用範囲も、世界の主要国と比べると依然として極端に低く設計されています。

基本税率は9%、ただし免税ラインがある

法人税の基本税率は9%です。さらに、課税対象となる利益のうち一定額(一般に年間37万5,000AED、約1,650万円)までは0%とされています(2026年時点。制度は変更され得ます)。

つまり、利益がこのラインを超えた部分にだけ9%がかかる仕組みです。小規模な事業者やスタートアップの多くは、実質的にほとんど課税されないか、ごく軽い負担にとどまります。

フリーゾーン企業の扱い

UAEには多数のフリーゾーンがあり、特定の条件を満たす「適格フリーゾーン事業者」は、対象となる所得について引き続き0%が適用される枠組みが用意されています。

ただし、条件は細かく、ローカル(フリーゾーン外)の顧客との取引などには異なる扱いが及ぶ場合があります。フリーゾーンに会社を置けば自動的に無税、という単純な話ではなくなりました。

個人の所得税は依然としてゼロ

ここが重要な点です。法人税は導入されましたが、個人の給与所得に対する所得税は依然として存在しません。会社員として働く分には、税制面の魅力は基本的に変わっていません。

世界の多くの国が、企業よりも個人から税を取る構造になっているのと比べると、UAEは逆向きです。利益を生む法人に薄く課税し、働く個人からは取らない——この設計が、高所得の専門職や経営者を引き寄せ続ける理由になっています。

9%という数字の戦略性

主要国の法人税率が20〜30%台にあるなかで、9%は突出して低い水準です。なぜわざわざ「ゼロ」をやめてまで9%にしたのか。

ひとつの見方は、国際的な税の透明性ルールに歩調を合わせつつ、それでも最も低い水準を維持するという選択です。完全な無税は国際社会から問題視されやすい。だが「最低限の税はある、ただし極端に安い」というポジションなら、批判をかわしながら競争力を保てます。

税を取らないことで信用を得てきた国が、最小限の税を取ることで別の信用を得ようとしている。9%という数字は、その綱渡りの落とし所だと読めます。

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