ドバイが暗号資産ハブになった理由——規制と制度の現状
ドバイはなぜ世界の暗号資産業界が集まる都市になったのか。VARA規制・フリーゾーン制度・在住日本人が暗号資産を扱う際の注意点を解説。
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2021〜2022年頃から、暗号資産関連の企業や個人投資家がドバイに集まり始めた。個人所得税ゼロ・キャピタルゲイン税ゼロというUAEの税制は、暗号資産で利益を得た人々にとって強力な引力になっている。
VARA(Virtual Assets Regulatory Authority)
ドバイは2022年に世界初の独立した仮想資産規制機関「VARA(Virtual Assets Regulatory Authority)」を設立した(出典:VARA公式サイト)。UAEの金融規制機関CBUAE・SCAとは別に、ドバイ固有の規制機関として機能する。
VARA規制の下でライセンスを取得することで、暗号資産取引所・カストディアン・DeFiプロトコル等が合法的に営業できる。Binance(Binance FZE)・Bybit・OKXなどの主要取引所がドバイにライセンスを取得・申請していることが公表されている(出典:各社公式発表・VARAライセンスリスト)。
フリーゾーンの役割
DIFC(Dubai International Financial Centre)・ADGM(Abu Dhabi Global Market)はUAE内の独立した経済特区で、英国法を基にした独自の法体系を持つ。ADGMは比較的早期から暗号資産フレームワークを整備しており、暗号資産企業の設立先として選ばれることが多い。
フリーゾーン内に設立した法人は外国人が100%所有でき、設立した法人の事業は原則フリーゾーン内または国外向けに限定される(UAEのローカル市場向けには別のライセンスが必要)。
個人投資家の税制面
UAEは連邦レベルで個人所得税・キャピタルゲイン税を設けていない(2026年4月時点)。暗号資産の売買益も個人レベルでは課税対象外とされている。ただし注意点がある:
- 日本の税務上の居住者でなくなることが前提。形式的にドバイに住民票を移しても、日本での実質的な生活実態が続く場合は日本の税制が適用されることがある
- 法人が暗号資産関連の収益を得る場合、UAE連邦法人税(2023年以降9%)の対象になる可能性がある(出典:UAE Ministry of Finance)
- 日本の国税庁は「海外移住を利用した課税回避」に対して実態調査を強化している
在住日本人が暗号資産を扱う際
ドバイ在住の日本人が個人で暗号資産投資をする場合でも、日本国籍を持ったまま日本の口座・資産がある場合は日本側の申告義務の有無を確認することが重要だ。
UAEでの生活が長くなるにつれ「日本の税務上の非居住者」要件を満たすケースが増えるが、判定は単純ではない。具体的な状況については税理士への相談を強くお勧めする。
ドバイの暗号資産環境は規制の整備が続いており、「無法地帯」から「規制下のハブ」へ移行しつつある段階だ。2026年以降もVARAの規制更新が予定されており、最新情報の確認が必要な分野だ。