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SNSの投稿で逮捕される国——UAEサイバー犯罪法と表現の境界線

UAEではSNSでの誹謗中傷・政府批判・わいせつ画像の共有が刑事犯罪。2021年施行のサイバー犯罪法(Federal Decree Law No. 34)の主要条文と、在住日本人が気をつけるべきポイント。

2026-05-29
サイバー犯罪法SNS法律表現の自由逮捕

この記事の日本円換算は、1AED≒42円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(AED)の金額を基準にしてください。

2023年、ドバイ在住の外国人がFacebookで元雇用主を批判する投稿をし、名誉毀損で逮捕された。罰金AED 250,000(約1,050万円)と国外退去処分。日本では「ネットの悪口で逮捕」はまずないが、UAEでは日常的に起きている。

Federal Decree Law No. 34 of 2021

2022年1月に施行されたUAEサイバー犯罪法は、オンライン上の行為に対して広範な刑事罰を定めている。主要な条文:

第44条(名誉毀損・侮辱): インターネットを通じた名誉毀損は、AED 250,000〜500,000(約1,050万〜2,100万円)の罰金、または禁固刑、もしくはその両方。

第20条(わいせつコンテンツ): 性的なコンテンツの作成・共有・保管。ヌード写真の送信(たとえ合意の上でも)は犯罪。AED 150,000〜500,000の罰金または禁固刑。

第28条(偽情報の拡散): 国家の安全や公共の秩序を乱す虚偽の情報の流布。禁固刑1年以上、またはAED 100,000以上の罰金。

第22条(プライバシー侵害): 他人の許可なく写真・動画を撮影・公開すること。

在住者が実際に問われた事例

  • WhatsAppグループでの悪口: 同僚を批判するメッセージを社内グループに投稿 → 名誉毀損で告訴
  • 交通事故の動画投稿: 事故現場をSNSに投稿 → プライバシー侵害と偽情報拡散の可能性で捜査
  • レストランの悪いレビュー: Google Mapsに低評価レビュー → 店側が名誉毀損で告訴(実際に逮捕に至ったケースは稀だが、法的には可能)

VPNの利用

UAEではVoIP通話(FaceTime、WhatsApp通話、Skype等)が規制されている。多くの在住者がVPNを利用しているが、法的立場は微妙だ。

サイバー犯罪法第10条では、犯罪行為のためにVPNを使用することが違法とされている。VPN自体の使用を直接禁止する条文はないが、VPNを使ってブロックされたサービスにアクセスし犯罪行為を行った場合、VPN使用が加重事由になりうる。

実務的には、ビジネス目的のVPN使用は広く行われており、取り締まりはほぼない。ただし「VPNを使えば何でもできる」という認識は危険だ。

日本人が気をつけるべきこと

1. SNSでの不満投稿を控える: UAEの政府・王族・宗教に対する批判は絶対に避ける。雇用主や取引先への不満もSNSに書かない。日本語であっても翻訳ツールで内容は確認可能だ

2. 写真・動画の撮影: 他人が映り込む写真をSNSに上げる際は注意。特に女性や子どもが映っている場合、プライバシー侵害で告訴される可能性がある

3. WhatsAppグループ: 職場や友人のグループで他人の悪口を書かない。グループ内の誰かがスクリーンショットを取って当事者に転送するケースが多い

4. コンテンツの受信も注意: わいせつな画像が送られてきた場合、そのまま保管しているだけで犯罪になりうる。すぐに削除すること

UAEは治安が良い国だが、その治安は厳しい法律によって維持されている。「知らなかった」は通用しない。特にSNSでの発信は、日本にいるときとは根本的にリスクの度合いが違う。投稿ボタンを押す前に、一度考える習慣をつけること。

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