砂漠に木を植える——UAEの緑化プロジェクトの野望と現実
UAEは年間降水量わずか100mm以下の砂漠気候でありながら、野心的な緑化・植林・農業開発プロジェクトを進めている。その成果と限界、そして水の問題を見る。
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ドバイの幹線道路を走ると、砂漠の中に緑の街路樹が並んでいる。潅漑(かんがい)なしには維持できないこの緑は、「意志と技術で自然を変えられる」という思想の象徴だ。
UAEの降水量と気候
UAEの年間降水量は平均100mm前後(地域によって異なる)。日本の東京の降水量が約1,500mmであることを考えると、その乾燥の度合いがわかる。
夏は気温が45℃を超える日もあり、農業は海水淡水化と灌漑なしには成立しない。
マングローブの保護・拡大
アブダビとドバイの海岸線にはマングローブ林が存在し、政府はその保護・拡大に力を入れている。
マングローブは炭素吸収・海岸侵食防止・海洋生物の生態系として機能し、UAEの「ネットゼロ目標」とも関連している。アブダビのマングローブ公園(Eastern Mangroves)はカヤック・ウォーキングで市民・観光客に開かれている。
都市農業と垂直農場
砂漠では露地農業が難しいため、制御環境農業(垂直農場・水耕栽培)への投資が進んでいる。
ドバイやアブダビには、冷暖房完備の施設内でLEDライトを使って野菜・ハーブを栽培する垂直農場が存在する。コストは高いが、食料安保の観点からUAEは国内農業の拡大を戦略目標にしている。
コロナ禍の食料サプライチェーン混乱が、この動きを加速させた側面がある。
水の課題
緑化・農業のすべてに共通する問題が水だ。
UAEの淡水資源はほぼゼロで、海水淡水化で生活用水を賄っている。海水淡水化は電力を大量消費するエネルギー集約型の技術だ。砂漠に緑を作ることは、電力を使ってお金で水を作ることでもある。
再エネ電力+海水淡水化の組み合わせが持続可能な方向性として模索されているが、コスト・スケールの課題は残る。
日本との比較
日本は雨が多く水を「当然あるもの」として扱いやすい。UAEに暮らすと、「水はお金と技術で作るもの」という感覚が日常になる。
水道水を飲めるかどうかについては、UAEの水道水は国際基準を満たすとされているが、多くの在住者はミネラルウォーターを購入している(慣習・個人の選択による)。
「砂漠に緑を作る」という行為の背後にある技術とコストを知ると、UAEの都市の緑の見え方が変わる。