Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
仕事・キャリア

石油の次は創造産業——ドバイのクリエイティブエコノミー政策の現在地

ドバイは映画・音楽・デザイン・ゲーム・ファッションなどのクリエイティブ産業を育成する政策を進めてきた。アラブ圏のコンテンツハブを目指す戦略と、現実との差を見る。

2026-06-18
クリエイティブ産業ドバイデザイン映画アート

この記事の日本円換算は、1AED≒41円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

「ドバイで映画を撮りました」「ドバイでアート展示をします」——数年前まで珍しかったこの表現が、少しずつ普通になってきた。

ドバイは「クリエイティブエコノミー(創造経済)」をソフトパワー戦略の柱に据え、政策投資を続けている。

ドバイ・インターナショナル映画祭とArts District

ドバイ国際映画祭はかつて中東・北アフリカ最大の映画祭として知られたが、いくつかの事情から近年は形を変えている(最新状況は公式情報を確認)。

アルセルカル(Alserkal Avenue)はドバイのアートディストリクトで、倉庫を改装したギャラリー・スタジオが集積している。アラブ・アジア・国際のアーティストの展示が混在し、「ドバイのアート現場」として機能している。

DMCC・テクノロジーハブとの連携

DMCC(ドバイ多品目商品センター)やゲーム特化の「Dubai Programme for Gaming Innovation」など、クリエイティブ産業を特定フリーゾーンで育成する試みが進んでいる。

税制優遇・ライセンス発行・スタジオ施設の整備——インフラとして整えることで、国際的なコンテンツ企業の誘致を狙う設計だ。

「検閲」との緊張関係

クリエイティブ産業と規制の間には一定の緊張がある。UAEでは政治的な批判・宗教への侮辱・LGBTQに関するコンテンツなどには厳格な制限がある。

映画・音楽・ゲームは事前審査を経る必要がある場合があり、表現の自由の観点から国際的なクリエイターが制約を感じるケースも報告されている。

「表現の場としては自由ではないが、ビジネスの場としては機能している」という両面が共存している。

日本のコンテンツとドバイ

アニメ・マンガ・ゲームはドバイのアジア系・中東の若者の間で人気があり、日本のIPを活用したビジネスチャンスが探られている。

ドバイを「アラブ・南アジア市場へのゲートウェイ」として日本のコンテンツ企業が活用するという視点は、クリエイティブ産業の文脈では意味がある。実際にドバイを拠点に中東展開を図った日本の企業・個人クリエイターの事例もある。

クリエイティブ産業は「石油後」の経済多様化として方向性はあるが、成熟には時間がかかる。その過程の今のドバイは、チャンスと規制が入り交じった、独特の環境だ。

コメント

読み込み中...