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UAEのSNS規制——VoIPとVPNの現実

UAEではWhatsAppの音声通話・Skype・FaceTimeなどVoIPサービスが制限されている。在住外国人が実際にどう対処しているか、VPNの合法性・非合法性の境界線を含めて整理する。

2026-04-27
SNS規制VoIPVPNインターネット

この記事の日本円換算は、1AED≒41円で計算しています(2026年4月時点)。

ドバイに来て最初に気づくことのひとつは「WhatsAppで電話ができない」ことだ。日本の家族に音声通話をかけようとしたら繋がらない。FaceTimeも同様。これはUAEのインターネット規制の代表的な話題で、在住外国人がほぼ例外なく直面する問題だ。

何が制限されているか

UAEのインターネット規制機関(TRA:Telecommunications and Digital Government Regulatory Authority)の方針により、以下のVoIPサービスは制限されている(2026年4月時点):

  • WhatsApp 音声通話・ビデオ通話
  • Skype 音声通話・ビデオ通話
  • FaceTime(Apple)
  • Viber
  • LINE の音声通話機能
  • Telegram の一部機能(時期によって変動)

テキストメッセージ(WhatsApp・LINEのテキスト・Instagram DMなど)は基本的に使える。YouTube・Instagram・TikTokは通常視聴できる。

なぜVoIPが制限されているか

公式の理由としてTRAは「ライセンスされていないVoIPサービスは規制対象」とし、UAE国内の通信キャリア(Du・Etisalat/E&)の収益保護が背景にあると広く指摘される。事実、Etisalat・Duが提供する国際電話サービスは有料で使える。

代替として認可されたビデオ通話サービスとして「BOTIM」「C'Me」などのアプリが公式に使えるが、これらはDuやEtisalatが提供・承認したサービスで、一部は月額AED10〜50(410〜2,050円)の利用料がかかる。

VPNの法的な位置づけ

「VPNを使えばWhatsAppの音声通話ができる」——これは事実だが、VPNの使用はUAEの法律上グレーゾーンだ。

UAEのサイバー犯罪法では、犯罪目的や規制回避目的でのVPN使用は違法とされ、罰金(AED150,000以上 / 615万円以上)または禁固刑が規定されている。ただし「企業が業務目的でVPNを使う」ことは一般的に黙認されており、法人はVPNを日常的に業務利用している。

個人がVPNを使ってWhatsAppの音声通話をする行為は、理論上は違法の可能性があるが、実際には個人を対象に取り締まったケースはほぼ報告されていない——というのが在住外国人の認識だ。ただし「摘発されたことがない=合法」ではなく、法律上の規定は存在する点は理解しておく必要がある。

在住者の実際の対処法

在住外国人がよく取る対応:

1. BOTIMを使う:UAE公認の代替VoIPで日本語インターフェースがあり、日本家族も入れれば通話できる。月額AED25〜50(1,025〜2,050円)程度。

2. 固定電話・携帯の国際電話:Etisalat・Duのプランで国際通話パックを契約。日本への通話は1分AED1〜2(41〜82円)程度。

3. 職場のVPN経由で通話:業務用VPNは一般的に会社が契約しており、その経由での通話は業務目的の範囲と判断される。

4. 一時帰国・旅行時のみ通話:UAEを出国した瞬間に規制がなくなるので、旅行中にビデオ通話をまとめて行う方法。

「どうしても日本の家族とビデオ電話したい」という在住者にとってこの問題は切実だ。移住・赴任前にBOTIMを家族のスマートフォンに入れておくことが推奨されている。

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