ラス・アル・ハイマ——世界最長ジップラインがある首長国の冒険観光
UAE最北の首長国ラス・アル・ハイマ(RAK)は、ジェベル・ジャイス山の世界最長ジップライン、砂漠キャンプ、マングローブカヤックなどアドベンチャー観光に特化しています。
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UAEと聞いて思い浮かぶのはドバイの高層ビル群かアブダビのモスクだろう。しかしUAEには7つの首長国があり、最北端のラス・アル・ハイマ(Ras Al Khaimah、通称RAK)は「ビーチリゾート」でも「石油の街」でもなく、「冒険」を売りにしている。標高1,934mのジェベル・ジャイス山(Jebel Jais)——UAE最高峰——を擁するこの首長国は、ドバイから車で約1時間半の距離にある。
世界最長のジップライン
ジェベル・ジャイス山にある「Jais Flight」は、全長2.83km、ギネス世界記録認定の世界最長ジップライン(2018年認定時点)。スタート地点は山頂付近で、最高時速150km以上で山岳地帯の上空を滑空する。所要時間は約2〜3分。
料金は1人あたり650AED(約27,300円)程度。体重制限は45〜150kg。予約はToro Verde RAKの公式サイトから可能だ。ジップラインの他に、「Jais Sky Maze」(高所アスレチック)や「Jais Sledder」(トボガンコース)もジェベル・ジャイス山に併設されている。
砂漠と山が両方ある
RAKの独特な地形は、海岸沿いの砂漠地帯と内陸のハジャール山脈が同じ首長国内に共存していることだ。朝は山でハイキング、午後はビーチ、夜は砂漠キャンプ——1日で3つの地形を体験できる。
砂漠キャンプ(バーベキュー・星空観察付き)は1泊500〜1,500AED(約21,000〜63,000円)程度。ドバイの砂漠サファリと比べると観光客が少なく、静かな砂漠体験ができるのがRAKの強みだ。
ベア・グリルスの冒険施設
2023年にオープンした「Bear Grylls Explorers Camp」はジェベル・ジャイス山に設置されたアドベンチャー施設で、サバイバルスキル体験、ロッククライミング、障害物コースなどが用意されている。英国の冒険家ベア・グリルスの名を冠したこの施設は、RAKが「冒険観光のハブ」としてブランディングを強化する戦略の一環だ。
なぜRAKは冒険に賭けたのか
7つの首長国のうち、ドバイとアブダビが圧倒的な経済規模を持つ。RAKの石油資源はほぼ枯渇しており、GDP規模もドバイの10分の1以下だ。「ドバイと同じもの(高層ビル・ショッピングモール)」で勝てない以上、別のポジションを取る必要があった。
RAK政府はRas Al Khaimah Tourism Development Authority(RAKTDA)を通じて、2019年頃から「アドベンチャー観光」にリソースを集中させた。世界最長のジップライン、ベア・グリルスとの提携、山岳マラソンの誘致——全て「ドバイにないもの」を意図的に作っている。
在住日本人にとってのRAK
ドバイ在住の日本人にとって、RAKは週末のドライブ先として手頃な距離にある。E311高速道路で約90分。ジェベル・ジャイスの山頂道路は2019年に整備され、ドライブコースとしても人気がある。山頂付近の気温はドバイより10〜15℃低く、夏場の避暑先としても利用されている。
RAKのホテル価格はドバイの半額〜3分の2程度で、アル・ハムラ(Al Hamra)やアル・マルジャン島(Al Marjan Island)にはビーチリゾートが点在する。ドバイの喧騒から離れたい週末に、ビルの代わりに山が見える場所。UAEの中にもそういう選択肢がある。