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ドバイの給料は「額面」で見ると間違える——駐在パッケージの読み方

UAE駐在の給与パッケージは基本給・住居手当・教育手当・航空券・保険の組み合わせで構成される。額面だけでは判断できないパッケージの構造と、交渉のポイントを解説する。

2026-05-17
UAEドバイ給与駐在パッケージ交渉

この記事の日本円換算は、1AED≒42円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(AED)の金額を基準にしてください。

「ドバイで月給50万円のオファーが来た。東京より高い」——この判断は、たぶん間違っている。

ドバイの給与は「基本給」だけでなく、住居手当、教育手当、航空券、医療保険、終業金(退職金)のパッケージで評価する必要がある。基本給が高くても住居手当がゼロなら、家賃で半分が消える。逆に基本給が低くても住居手当が厚ければ、手取りベースでは東京より良い場合がある。

UAEの給与パッケージの構成

一般的な駐在パッケージには以下の要素が含まれる。

基本給(Basic Salary)。 パッケージの50〜60%を占めるのが一般的。終業金(後述)の計算ベースになるため、基本給の割合は重要だ。

住居手当(Housing Allowance)。 ドバイの住居費は高い。1LDK〜2LDKで月額5,000〜10,000AED(約210,000〜420,000円)。家族帯同なら3LDK以上で10,000〜20,000AED(約420,000〜840,000円)。住居手当がパッケージに含まれているかどうかで、実質的な可処分所得が大きく変わる。

交通手当(Transport Allowance)/ カーアロワンス。 月額1,500〜3,000AED(約63,000〜126,000円)程度。社用車が支給される場合もある。

教育手当(Education Allowance)。 子どもがいる場合、インターナショナルスクールの学費(年額30,000〜100,000AED、約126万〜420万円)の全額または一部が支給される。

航空券(Annual Air Ticket)。 年1〜2回の日本往復航空券が支給される。家族分も含む場合がある。

医療保険(Medical Insurance)。 UAEでは雇用主が従業員の医療保険を提供する法的義務がある。ただしプランの質はさまざまで、歯科・眼科・出産がカバーされるかどうかは確認が必要。

終業金(End of Service Gratuity)

UAEの労働法では、1年以上勤務した従業員に「終業金」が支払われる。

計算方法:

  • 勤続1〜5年: 基本給の21日分 × 勤続年数
  • 勤続5年超: 基本給の30日分 × 超過年数(上限は基本給の2年分)

例えば基本給が月20,000AED(約840,000円)で5年勤務した場合、終業金は約70,000AED(約294万円)。これが退職金に相当する。

基本給が低く設定されていると終業金も低くなるため、パッケージ全体の中で基本給の割合は交渉のポイントになる。

所得税ゼロの本当の意味

UAEには個人所得税がない。これが最大の魅力として語られるが、単純に「税金がかからないから丸ごと手取り」ではない。

日本の税金は残る場合がある。 日本の居住者でなくなれば日本の所得税はかからないが、「非居住者」の判定は形式的ではなく実質的に行われる。日本に家を持ち、家族が日本にいる場合は「居住者」と見なされるリスクがある。

社会保険料。 UAEには日本のような公的年金制度がない(エミラティ国民向けの制度はあるが、外国人は対象外)。日本の年金を任意継続しない場合、将来の年金受給額が減る。

実質コスト。 所得税がない代わりに、通信費・住居費・教育費が日本より高い。所得税20%を払わない代わりに、これらの生活コストで15〜20%が追加でかかっている——というのが多くの駐在員の実感だ。

交渉で見るべきポイント

UAE赴任のオファーを受けた際に確認すべきポイントを整理する。

住居手当の金額と形態。 現金支給か、会社指定の住居提供か。現金支給の方が自由度が高い。金額は希望エリアの家賃相場と照合する。

教育手当の上限と対象校。 インターナショナルスクールの学費は学校によって2〜3倍の差がある。上限が低いと選択肢が狭まる。

医療保険のカバー範囲。 歯科、眼科、出産、持病(pre-existing condition)がカバーされるか。家族も対象か。

航空券のクラスと回数。 エコノミーかビジネスか。年1回か2回か。家族分も含むか。ビジネスクラスの日本往復(30万〜60万円相当)が含まれるかどうかは大きい。

基本給の割合。 総パッケージに占める基本給の割合が50%以下の場合、終業金が少なくなる。「手当を厚くして基本給を抑える」構造は雇用主側に有利だ。

プロベーション(試用期間)。 通常6ヶ月。この期間中は14日前の通知で解雇可能。プロベーション期間中は終業金も発生しない。

「安い」か「高い」かは構造で決まる

同じ月給50万円でも、住居手当あり・教育手当あり・保険フルカバー・年2回ビジネスクラス航空券付きなら実質年収1,200万円相当。住居手当なし・保険最低限・航空券なしなら実質年収600万円相当。

額面ではなく「パッケージ全体の実質価値」で判断する。ドバイの給与交渉は、この構造を理解しているかどうかで結果が変わる。


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