UAEの宇宙開発——火星探査機ホープとドバイが描く「2117年の火星都市計画」
UAEは2021年に火星探査機アマル(ホープ)を火星軌道に投入した。建国50年の国が宇宙開発に乗り出した背景と、100年後の火星都市構想という壮大なビジョンの意味を読み解く。
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2021年2月、アラブ首長国連邦の火星探査機「アマル(Hope)」が火星軌道に投入された。アジア・アラブ圏初の火星探査ミッションで、建国わずか50年の国が達成した快挙として世界に衝撃を与えた。
「石油大国が宇宙に行く理由」は単なる威信ではない。
なぜUAEが宇宙開発をするのか
ドバイ、アブダビが進める宇宙開発には明確な経済的・戦略的理由がある。
科学・技術人材の育成:宇宙プロジェクトを通じてエンジニア・科学者の国産育成を加速させる。石油に依存しない「知識経済」への移行の象徴だ。
インスピレーション効果:アラブ圏の若者への「科学で夢を実現できる」というメッセージ。地域全体のSTEM教育への関心を高める効果が期待された。
宇宙産業参入:衛星技術・地球観測・宇宙旅行という成長市場への足がかり。
2117年の火星都市計画
ドバイは「2117年までに火星に都市を建設する」という構想を正式に発表している。100年後のビジョンとして、「人類が多惑星種になる」という目標を掲げている。
現実的な実現可能性よりも、「100年後を見据えた国家の意思」という宣言としての意味が大きい。建国50年で火星に探査機を送った国が、次の100年で何を目指すかという物語だ。
UAEの宇宙産業の現実
UAE宇宙庁(UAE Space Agency)とMBRSC(モハメッド・ビン・ラーシド宇宙センター)が開発の中心。アマル探査機の開発には米国のコロラド大学ボルダー校との連携があり、UAE人エンジニアが主体的に関与した。
衛星通信・地球観測衛星の商業展開も進めており、「科学のための宇宙開発」と「産業としての宇宙」を並行させている。
在住者にとっての意味
ドバイに住んでいると、「この国は100年計画で動いている」という感覚が随所に現れる。40年前に砂漠だった場所に高層ビルが立ち並び、50年後の計画が今発表される。その時間軸で物事を考える文化に触れると、自分の「5年後の計画」という視野が狭く感じられることがある。