水の9割が海水淡水化——UAE「水」のインフラと脆弱性
UAEの飲料水の約9割は海水淡水化プラントで生産されています。蛇口の水がどこから来るのか、水道代の構造、断水リスクまで、在住者が知っておくべき水事情を解説します。
この記事の日本円換算は、1AED≒42円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(AED)の金額を基準にしてください。
東京では蛇口をひねると当たり前に水が出る。UAEでもそうだ。ただし、その水の約9割は海でできている。
UAEの年間降水量は約80mm。東京の約1,600mmの20分の1しかない。ダムも大きな河川もない。国民が飲む水、シャワーの水、ビル群を冷やす冷却水——そのほぼ全てを海水淡水化プラントが供給している。
淡水化プラントの規模
UAEには世界最大級の海水淡水化プラントが複数ある。ジュベル・アリ(Jebel Ali)の発電・淡水化複合プラントは1日あたり約230万立方メートルの淡水を生産する能力がある。アブダビのタウィーラ(Taweelah)プラントは2023年に逆浸透膜(RO)方式で日産約90万立方メートルの能力を備え、世界最大級のRO淡水化施設とされる。
日本人にとってのピンとくる比較を出すと、東京都の1日あたりの水道供給量は約450万立方メートル。UAEは国全体で東京都に近い量を、海から作っている。
水道代の構造
ドバイの水道料金はDEWA(Dubai Electricity and Water Authority)が管理している。2024年時点の住宅用水道料金は以下の階層制になっている。
| 使用量(ガロン/日) | 単価 |
|---|---|
| 0〜6,000 | 0.0351 AED/ガロン(約1.5円) |
| 6,001〜12,000 | 0.0438 AED/ガロン(約1.8円) |
| 12,001以上 | 0.0527 AED/ガロン(約2.2円) |
日本と比べると安い。ただしこの料金は政府補助を含んでおり、実際の海水淡水化コストはこの数倍かかるとされる。UAEの水はエネルギー(電力・天然ガス)で作られているため、水のコストはエネルギー価格と直結している。
蛇口の水は飲めるか
DEWAはドバイの水道水がWHO基準を満たしていると公表している。淡水化プラントから出る水自体はきれいだが、建物の貯水タンクや古い配管を通る過程で品質が変わることがある。
在住日本人の多くは浄水器を設置するか、ボトルウォーターを使っている。5ガロン(約19リットル)のボトルウォーターは配達込みで7〜12AED(約294〜504円)程度。月間の水代は4〜6本で30〜70AED(約1,260〜2,940円)が目安になる。
断水と備え
大規模断水は稀だが、建物単位のメンテナンスや配管トラブルによる一時的な断水はある。タンク清掃で半日止まる、という経験をした在住者は少なくない。
家に常備しておくべきは2〜3日分の飲料水。砂漠気候で1人あたり1日3リットルは必要だ。冷蔵庫にボトルウォーターを数本入れておく習慣があると、断水時のストレスが大きく減る。