スーパーアニュエーション(年金)と帰国時の受け取り方
オーストラリアで働くと自動的に積み立てられるスーパーアニュエーション。帰国前に知っておくべきDPST申請の手順と注意点。
この記事の日本円換算は、1AUD≒95円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(AUD)の金額を基準にしてください。
オーストラリアで働いた期間が1年でも、スーパーアニュエーションに数万円分が積み立てられている可能性がある。帰国後に「そういえばあの口座どうなった?」と思い出しても、手続きを知らないまま放置する人が多い。
スーパーアニュエーションとは
雇用主が給与に上乗せして積み立てる強制的な退職年金制度。2025年現在、雇用主は給与の11.5%をスーパーファンドに拠出する義務がある(Superannuation Guarantee率。毎年段階的に引き上げられており、2025年7月以降は12%)。
たとえば時給AUD 25で週38時間、1年間働いた場合、年収はAUD 49,400。スーパーの積立額は11.5%でAUD 5,681(約54万円)になる計算だ。ワーホリで1年いたのに何もしないまま帰国すると、この金額が眠ったままになる。
外国人・一時滞在者の受け取り方:DPST申請
永住権を持たない一時ビザ保持者(ワーホリビザ・学生ビザ・就労ビザ等)が帰国する場合、Departing Australia Superannuation Payment(DASP)という制度で受け取れる。
手続きの流れ:
- ビザが失効するか、オーストラリアを出国する
- オーストラリア税務局(ATO)のDASPオンラインポータルから申請(https://www.ato.gov.au)
- スーパーファンドに申請書が転送される
- 審査後、指定口座に振り込まれる
処理時間はファンドによって異なるが、1〜3ヶ月が目安。帰国後に日本の口座への振り込みも可能。
DASP申請時の税率:これが痛い
DASP受け取り時には源泉税が引かれる。この税率が意外と高い。
| 課税成分 | 税率 |
|---|---|
| タックスフリーコンポーネント | 0% |
| タクサブルコンポーネント(課税部分) | 35% |
| ワーホリビザ保持者の課税部分 | 65% |
ワーホリビザ(417・462)保持者は特別に高い65%が適用される(2017年改正以降)。AUD 5,000の積立があっても、受け取りは約AUD 1,750になる可能性がある。
就労ビザ(482・189・190等)の場合は35%なので、同じ積立額でもワーホリより受取額が大きい。
スーパーファンドを確認する方法
「自分がどのファンドに入っているか分からない」という人も多い。ATOの「myGov」アカウントを作成してABOを連携すると、自分のスーパー口座が一覧で確認できる。複数の雇用主で働いた場合、複数の口座が開設されていることもある。
複数口座がある場合は、一つに統合(コンソリデーション)しておくとDASP申請が一回で済む。管理費の重複も防げる。
帰国前にやっておくこと
住所・連絡先の更新: スーパーファンドに登録してある住所が古いと、通知が届かない。退職や帰国前にファンドのウェブサイトで連絡先を更新しておく。
Tax File Number(TFN)の確認: TFNをスーパーファンドに登録していない場合、最高税率(47%+)が適用される可能性がある。ファンドへのTFN登録は必須。
最後の雇用主からの拠出確認: 退職直前の給与明細でスーパーの拠出額が反映されているか確認する。雇用主の拠出は四半期ごとの場合もあり、最後の分が反映されるまでタイムラグがあることも。
受け取りを放置するとどうなるか
5年以上動きのないスーパー口座は「Lost Super」として処理され、ATOが管理を引き取る。ATOが管理するロストスーパーはAUD 160億以上(2024年ATO公表)あると言われており、帰国した外国人の口座も多く含まれている。ATOが管理に移った後も申請自体は可能だが、手続きが少し複雑になる。
オーストラリアの税金申告については、GSTとBAS申告の記事も参考に。
帰国後に申請できるとはいえ、在豪中のうちにファンドと連絡先を整理しておくほうが確実に楽だ。「いつか手続きしよう」が「永遠にしない」になりやすいのがスーパーの受け取り問題の実態でもある。