シドニーでもメルボルンでもない——アデレードが「住みやすい都市」として語られる理由
人口140万人台のアデレードは、しばしばオーストラリアの「第三の都市」として過小評価される。だが長期滞在者や移住者の間では、「実は一番住みやすい」という声が根強い。その実態を見る。
この記事の日本円換算は、1AUD≒97円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
「どこに住むの?」「アデレード」——この会話の流れで「え、アデレード?」と驚かれた経験を持つ日本人は意外と多い。
アデレードはオーストラリアの「第三の都市」と呼ばれることが多い。人口はシドニー(約500万人超)やメルボルン(約500万人超)より大幅に少なく、国際的な知名度も低い。でも長期在住者や永住権取得者の口コミでは、「実は一番バランスが良い」という評価が繰り返し出てくる。
家賃が明らかに安い
オーストラリア全土で住宅費が高騰している中、アデレードはシドニー・メルボルン比で家賃が低い水準を保ってきた。週500〜700AUD(約48,500〜67,900円)の予算で、中心部からほど近い一軒家(2〜3ベッドルーム)が見つかることも珍しくない(2026年時点の目安、市場変動あり)。
同じ予算でシドニー中心部を探すと、スタジオ(ワンルーム)さえ見つかるかどうか怪しい状況だ。
コンパクトで移動しやすい
アデレードの都市設計は植民地時代のグリッド構造(碁盤の目)で、中心部は徒歩や自転車で移動できる範囲にまとまっている。渋滞はシドニー・メルボルンほど深刻ではなく、空港も市内から近い。
「通勤に1時間かけない」という当たり前に近い選択が、アデレードではしやすい。
ワインと食文化
南オーストラリアはオーストラリア有数のワイン産地で、アデレードはその玄関口に位置する。バロッサ・ヴァレーやクレア・ヴァレーといったワイン産地が車で1時間圏内にある。
地元のレストランやワインバーは、シドニーほど高騰しておらず、「価格の割にクオリティが高い」という評価を得やすい環境だ。
移民受け入れ政策との関係
南オーストラリア州は長年「州指名ビザ」制度を活用し、労働力不足を補うために移民を積極的に受け入れてきた。地方居住要件との組み合わせで永住権取得を目指す人にとって、アデレードは現実的な選択肢になっている。
永住権後もアデレードに住み続ける人が一定数いる。それは「義務で来たけど気に入った」という人の存在を意味している。
「退屈」という評価の裏側
アデレードを「退屈」と評する声もある。深夜まで営業するクラブや多様なエンタメが少ない、東海岸ほど多国籍な刺激がない、という点は否定できない。
でも「退屈」を「静か」と言い換えると、見え方が変わる。静かで、安くて、緑が多くて、飯がうまくて、海も山も近い。
この価値観が合う人には、アデレードは答えだ。