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文化・社会構造の分析

AFLはオーストラリアにしか存在しない——フットボールが宗教になった国の社会学

オーストラリアンフットボール(AFL)はラグビーでもサッカーでもない。独自の進化を遂げたこのスポーツが、特に南部・西部でどれほど人々の生活に溶け込んでいるかを読み解く。

2026-06-05
AFLオーストラリアンフットボールスポーツ文化メルボルンコミュニティ

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「どのチームが好き?」——メルボルンで初対面のオーストラリア人と話すとき、この質問は天気の話より先に来ることがある。

「AFL」のチームのことだ。

AFLとは何か

AFL(Australian Football League)は、楕円形のボールを使い、楕円形のグラウンドで行われる独自の球技だ。蹴る・手で打つ・走る——ラグビーともサッカーとも違う、進化の枝が完全に分岐したスポーツ。

ゴールポストは4本あり、センターポストに入れると6点、外側2本の間に入ると1点。タックルありだが前方へのパスは禁止(手で打つ「ハンドボール」のみ可)。このルール体系は世界に他に存在しない。

発祥はビクトリア州、19世紀半ばとされる。AFL本部は現在もメルボルンにある。

宗教的熱量の地域差

AFLの熱量には地域差がある。ビクトリア州・南オーストラリア州・西オーストラリア州では圧倒的な人気で、週末のスタジアムは数万人単位で埋まる。一方、ニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州では、ラグビーリーグ(NRL)への支持の方が根強い。

「メルボルンの人はAFLの話になると目が変わる」という表現がある。誇張ではない。特定のチームへの帰属感は、宗教的・家族的な継承に近い。祖父がカールトンのファンなら孫もカールトン、という文化が普通に存在する。

グランドファイナルという「国民の祝日」

AFLシーズンのクライマックスはグランドファイナル。毎年9月最終土曜日にメルボルンのMCG(メルボルン・クリケット・グラウンド)で開催される。観客動員は約10万人。テレビ視聴率もオーストラリアの年間最大規模になる。

ビクトリア州ではグランドファイナル前日が「AFL グランドファイナル前日」という公式祝日になっている。国のスポーツが公式に休日を作るというのは、他の国ではなかなかない現象だ。

「フッティ」と呼ぶ親しさ

AFLのことをオーストラリア人は「フッティ(Footy)」と呼ぶ。この呼び方自体が距離の近さを表している。試合を「見に行く」ではなく「フッティに行く」。

チームのカラーに合わせてスカーフを巻き、マフラーをしてスタジアムに向かう姿は、冬のメルボルンの風物詩だ。

日本人にとっての入り口

ルールが複雑で最初はわかりにくいが、「とにかくボールが高く上がったときにジャンプして取る(マーク)が決まったら盛り上がる」という観戦入門がある。

メルボルンのMCGやDomaineスタジアムでの観戦は入場料が比較的安く(一般席なら数十AUD台)、スタジアムの規模感と観客の熱量を体験するだけでも面白い。

AFLを知らずにメルボルンを語るのは、難しい。

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