オーストラリアで親の介護を考える——日本とは異なる老後支援の仕組み
オーストラリアに永住する日本人が増えるにつれ、「高齢になった親を日本から呼び寄せられるか」という問いが現実になっている。オーストラリアの親ビザと介護制度の概要。
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オーストラリアで永住権を取り、生活が安定してきた頃に浮上する問いがある。「高齢になった親を日本から呼び寄せることはできるか」——。
答えは「可能だが、費用も時間も相当かかる」だ。
親ビザ(Subclass 143/103)の現実
オーストラリアには永住市民の親のための移民ビザが存在する。Subclass 143(Contributory Parent Visa)は申請費用だけで1人あたり5〜7万AUD程度(推定・変動あり)。審査には数年かかるケースが通常で、10年以上待つこともあるとされている。
申請費用が高い理由は、オーストラリア政府が「親世代は医療・介護の公費負担が増える」と判断して、事前に費用を徴収する仕組みにしているためだ。
観光ビザでの長期滞在という選択肢
移民ビザではなく、観光ビザ(ETA・e600等)で短期滞在を繰り返しながら様子を見るという現実的な選択もある。ただし観光ビザは最大12ヶ月滞在できるわけではなく、入国ごとに3ヶ月程度が基本で、延長や頻繁な往来は当局の目に留まることがある。
「観光ビザで永続的に住み続ける」のはビザ条件に反するため、長期的な解決策にはならない。
オーストラリアの高齢者介護制度
オーストラリア市民・永住者の高齢者は、Commonwealth Home Support Programme(CHSP)やHome Care Packageを通じて政府補助の訪問介護サービスを受けられる。施設介護(Residential Aged Care)も存在し、費用の一部が政府負担になる制度がある。
ただしこれらは永住権・市民権保有者が対象で、観光ビザで滞在している親は対象外だ。Medicareも使えないため、民間保険がなければ医療費は全額自費になる。
現実的な選択
日本に残した親の老後と、オーストラリアでの自分の生活をどう両立させるかは、多くの在豪日本人が向き合うテーマだ。「一時帰国の頻度を増やす」「日本の家族に介護を任せる代わりに費用負担する」「介護が本格化したら日本に戻る」といった選択を組み合わせている人も多い。
どれが正解かは家庭の状況次第だが、「なんとかなるだろう」と先送りすると、急な帰国を迫られるリスクがある。親が元気なうちに選択肢を整理しておく価値はある。