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家族を介護する人への国家支援——オーストラリアのケアラー制度

病気・障害・高齢の家族を介護するために仕事を離れた人に、オーストラリアは金銭的支援と社会的承認を提供している。日本との対比から、ケアラーへの向き合い方を考える。

2026-06-15
ケアラー介護Centrelink障害支援家族介護

この記事の日本円換算は、1AUD≒97円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

日本語で「ケアラー」という言葉は最近よく聞かれるようになったが、まだ制度的な支援は限定的だ。オーストラリアでは「Carer(ケアラー)」は法的に定義された立場で、国家から一定の支援を受けられる。

その仕組みを知ることで、「家族の介護」に対する社会の態度の違いが見えてくる。

Carer Paymentの仕組み

オーストラリアの政府機関Centrelink(センターリンク)は、家族の介護を主な役割として担っている人に対して「Carer Payment(ケアラー給付)」を提供している。

これは、要介護者と同居または定期的に介護を行う人が、就労制限状態にある場合に申請できる給付金だ。2024〜2025年の基準で、単身者の場合は隔週で約1,000AUD(約97,000円)前後(金額は定期的に改定、最新はServicesAustralia公式サイトを確認)。

他にも「Carer Allowance」という別の手当があり、要介護の子どもや配偶者がいる場合に追加で受け取れるケースがある。

NDIS(国家障害保険制度)との連携

NDISは障害を持つ人への支援を提供する制度だが、その受給者を介護する家族・友人への間接的な支援という面もある。専門ヘルパーの派遣が可能になることで、ケアラーの負担が軽減される設計だ。

ただしNDIS自体の申請・審査・運用は複雑で、必要なサービスが迅速に提供されないという批判もある(利用者・支援者団体からの報告より)。

ケアラーの「社会的承認」

日本では「家族の介護をしている」という状況は、しばしば「仕方ない」「本人が選んだ」という受け止めをされることが多い。

オーストラリアでは「Carers Recognition Act」という法律があり、ケアラーの役割が社会に対して価値あるものとして認められている。これは精神的な意味合いが大きい。「あなたの仕事は社会に認められている」という公的なメッセージだ。

永住権のない外国人は対象外

注意が必要なのは、Centrelinkの給付は一般的に永住権保持者・市民権者を対象とし、ビザ保有の外国人は適用外のケースが多い点だ。留学生やワーホリで親族の介護をしても、政府支援へのアクセスは限定的になる。

介護と仕事の両立

ケアラー給付を受けながら部分的に就労する人もいる。一定の収入制限があり、超えた場合は給付が減額・停止される仕組みだ。

「介護者になったらキャリアが終わる」という恐れを少しでも緩和する設計——完全ではないが、存在している。

日本でケアラーという言葉が注目されているのは、制度が追いついていないという問題意識の裏返しでもある。オーストラリアの仕組みがすべて正解とは言わないが、比較する素材にはなる。

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