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食文化

オーストラリアのクラフトビール革命:大手2社寡占からの脱却

カールトン・ドラフトとVBが支配してきたオーストラリアのビール市場に、クラフトビールブームが起きた背景と現在地を解説。

2026-04-12
クラフトビールビール文化食文化パブ飲食業

この記事の日本円換算は、1AUD≒95円で計算しています(2026年4月時点)。

かつてオーストラリアのビール市場はCUB(Carlton & United Breweries)とライオン(Lion)の2社が事実上支配していた。スーパーに並ぶ「Carlton Draught」「VB(Victoria Bitter)」「XXXX(フォーエックス)」——地域によって強いブランドが違うが、どれも大手2社の製品だ。

ところが2010年代から急速にクラフトブルワリーが増加した。現在オーストラリアには700以上のクラフトブルワリーが存在すると言われている。

クラフトビール普及の背景

メルボルンとシドニーを中心にフードシーン全体がアップグレードされる中で、「飲むものにもこだわる」文化が生まれた。スペシャルティコーヒーの浸透と同じ構造だ。

「IPAが好き」「スタウトを探している」という会話が20代〜30代のバーで普通に行われるようになり、需要が供給を引き出した。ホームブルーイング(自家醸造)コミュニティが盛んで、そこから商業展開したブルワリーも多い。

代表的なクラフトブルワリー

  • Stone & Wood(バイロン・ベイ):Pacific Aleが代表作。東海岸で広く流通している
  • Little Creatures(フリーマントル、WA):ペールエールが主力。今は大手に買収されているがブランドは継続
  • Mountain Goat(メルボルン):Hightailなど、メルボルンのクラフトシーンの先駆け
  • Feral Brewing(WA):Hop HogというダブルIPAで国際的にも評価が高い

ブルワリーパブというスタイル

醸造所に併設したタップルームやレストランが各地に増えている。「ブルワリーパブ(brewpub)」と呼ばれ、醸造したてのビールをその場で飲む体験が人気だ。メルボルン東部の「クラフトビール街道」と呼ばれるエリアには、数km圏内に複数のブルワリーが点在している。

価格と大手との差

クラフトビールは大手製品より高い。スーパーで6缶パックが14〜20AUD(1,330〜1,900円)程度するのに対し、クラフトは20〜28AUD(1,900〜2,660円)が多い。バーやレストランでは1パイント(568ml)で12〜18AUD(1,140〜1,710円)になることも。

それでも「味が違う、たまには飲みたい」というポジションに収まっており、日常消費(大手の缶ビール)とのすみ分けができている。

日本人の感想

日本からの在住者の多くが「最初は大手ビールで十分だったが、クラフトにはまった」と話す。スタウトやサワーエールなど日本市場では珍しいスタイルが普通に手に入ることへの新鮮さが、入口になることが多いようだ。

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