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オーストラリアの選挙——投票が義務で罰則がある国の民主主義

オーストラリアでは選挙の投票が義務付けられており、正当な理由なく棄権すると罰金が科される。投票率が常に90%以上を維持するこの仕組みは、日本の低投票率と対照的だ。

2026-07-16
選挙投票民主主義社会制度

この記事の日本円換算は、1AUD≒97円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

日本の国政選挙投票率は近年50〜60%前後で推移しており、「政治への無関心」がしばしば問題として取り上げられる。オーストラリアでは同様の問題が起きにくい構造がある。投票が義務だからだ。

正当な理由なく投票しなかった場合、初回は55AUDの罰金が科される(推定・変動あり)。それが前例のない抑止力として働き、投票率は通常90%を超える。

義務投票制(Compulsory Voting)の仕組み

選挙人名簿(Electoral Roll)に登録している18歳以上のオーストラリア市民は、連邦選挙・州選挙に参加する義務がある。投票日には投票所に行き、名前を確認してもらえば義務は果たしたことになる——白票を入れても構わない。

「どう投票するか」の自由は保障されているが、「行くかどうか」の選択は認められていない。病気・海外滞在・宗教上の理由などは正当な欠席理由として認められる。

選挙の仕組みは日本より複雑

オーストラリアの連邦議会選挙では、優先順位付き投票(Preferential Voting)という仕組みが使われる。候補者全員に1〜N番の番号をつけて投票する。第1希望が当選ラインを超えなければ、最下位候補が脱落して2番目の希望票が再分配されるという仕組みだ。

上院(Senate)ではさらに複雑な比例代表制が採用されており、小規模政党が議席を得やすい環境がある。グリーンズ(環境政党)や独立議員が議会に入りやすいのはこのためだ。

在住外国人の立場

永住権保有者でもオーストラリア市民権がなければ選挙権はない。市民権を取得した時点で投票義務が生じる。「永住権まで取ったのに選挙には参加できない」という状態が数年続くのは、日本人永住者の多くが経験することだ。

市民権取得後に初めて投票所に行く体験は「オーストラリア人になった」という実感を強める行為と語る日本人も少なくない。

BBQと民主主義の接点

オーストラリアの選挙では、多くの投票所の外でボランティアがバーベキューを焼いて販売する。「Democracy Sausage(民主主義のソーセージ)」と呼ばれる文化で、選挙日のちょっとしたお楽しみとして定着している。義務で来なければならない場所で、ソーセージを焼いている——この光景がオーストラリアの市民性を象徴しているとよく言われる。

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