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文化・社会構造の分析

豊かな国の食料格差——オーストラリアのフードバンクに並ぶ人たち

農業大国・資源大国のオーストラリアで、食料支援を必要とする人が増えている。移民・ワーホリ・シングルマザー・老人が並ぶフードバンクの現実から、「豊かさ」の内側を見る。

2026-06-10
フードバンク食料格差移民生活保護物価高

この記事の日本円換算は、1AUD≒97円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

オーストラリアは世界有数の農業・食料輸出国だ。牛肉、小麦、乳製品、果物——国内消費をはるかに超える食料を生産し、海外に輸出している。

その同じ国で、フードバンクへの需要が増え続けている。

フードバンクとは

フードバンクは、食料を必要とする人に無料または低価格で提供する非営利の仕組みだ。スーパーや農場から期限近い食品を受け取り、支援が必要な家庭や個人に届ける。

オーストラリアでは「Foodbank Australia」が最大規模の組織で、各州に支部がある。コロナ禍以降に需要が急増し、2023〜2024年の物価高・住宅費高騰でさらに利用者が増えたと報告されている(Foodbank Australia調査)。

並ぶ人たちの内訳

フードバンクを利用するのは、一般的なイメージより幅広い。

永住権のない移民や留学生は政府の生活保護(Centrelink)にアクセスできない場合が多く、失職や病気をきっかけに食料支援に頼る事例がある。ワーキングホリデーで来た人が農場の仕事を失い、フードバンクに行ったという話は珍しくない。

高齢の一人暮らしで、年金だけでは家賃と食費をまかなえない人。離婚後に子どもを抱えたシングルマザー。精神疾患を抱えて就労が難しい人。

「困っていそうな顔」をしていない人が列に並ぶ——それがオーストラリアのフードバンクの現場だと、ボランティア経験者は言う。

住宅費との連動

オーストラリアの食料格差を語るとき、住宅費の問題を切り離せない。

シドニー・メルボルンでは週800〜1,200AUD(約77,600〜116,400円)の家賃が珍しくなくなった。最低賃金で働くフルタイム労働者でも、家賃を払ったあとに食費を節約せざるを得ない状況が生まれている。

「仕事はある。でも家賃を払ったら食べられない」——この状況を「Working Poor(ワーキングプア)」と呼ぶ。オーストラリアでも増加傾向にあると指摘されている(研究者や非営利団体による複数の報告より)。

食料廃棄との矛盾

同じ国で、年間数百万トンに及ぶ食料が廃棄されている(推定)。スーパーが賞味期限切れ前の食品を処分し、農場では規格外の野菜が廃棄される。

フードバンクはこのロスと不足を橋渡しする役割を担うが、すべてを埋めるには程遠い。

「世界で最も豊かな国のひとつが、なぜ食料を必要としている人を救えないのか」——この問いは、答えが出ないまま現場に残っている。

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