オーストラリアの食文化——「オーストラリア料理」がない国の食卓
オーストラリアには一般的に「オーストラリア料理」と呼べる料理が少ない。移民が持ち込んだ多国籍の食文化が混在している街の食事情と、日本人が驚く食の発見。
この記事の日本円換算は、1AUD≒97円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
「オーストラリアの郷土料理って何ですか?」と現地の人に聞くと、少し困った顔をされることがある。バーベキュー(BBQ)、チキンパルミジャーナ(チキンパルミ)、Pavlova(パブロバ)あたりは挙げられるが、「これがオーストラリア料理だ」と自信を持って言える料理は少ない。
その代わりにあるのが、多文化の食文化だ。
シドニーの「世界の縮図」な食環境
シドニーのストラスフィールドには韓国料理店と日本食が密集し、キャバランマットラにはレバノン料理が並ぶ。チャイナタウンは規模が大きく、本場に近い中国料理を食べられる。ブロンテやボンダイのカフェは朝食に特化したメニューで勝負する。
日本食のレベルも高く、特に寿司・ラーメン・居酒屋は本格的な店が増えた。シドニーCBDのラーメンは1杯20〜25AUD(約1,940〜2,425円)が相場。日本より高いが、「日本食が恋しくなったらここへ行く」という拠点は各都市に存在する。
食材の価格感覚
野菜・果物はビクトリア・マーケット(メルボルン)やパディーズ・マーケット(シドニー)のような卸売市場系マーケットで安く買える。スーパーの2〜3割引になることが多く、週1回まとめ買いの文化がある。
肉類は日本より安い傾向がある。ラム肉は特に安く、500gのラムチョップが8〜12AUD(約780〜1,160円)程度。オーストラリアに来た日本人の多くが「ラム肉生活」になる。牛肉も豪州産の赤身ステーキ肉は手頃な価格で手に入る。
外食のコスト
カフェでのランチは20〜25AUD(約1,940〜2,425円)が標準。夕食でレストランへ行くと飲み物込みで50〜80AUD(約4,850〜7,760円)以上はかかる。
「物価が高いオーストラリアで外食は贅沢」という実感は、移住から数ヶ月でほぼ全員が感じる。週の食費を抑えたい人は自炊をベースにし、外食は週1〜2回程度にするというスタイルが多数派だ。
日本人が嬉しい発見
日本料理の海外進出は相当なレベルで進んでいる。コールズやウールワースのような大手スーパーでも、一本橋ソース、ミリン、昆布だしは普通に買える。カルディ的な輸入食品店(Asian Grocery)は各都市に多数あり、日本のインスタント麺や調味料も揃う。
「食で困る」という段階は以前に比べてかなり下がった。食材の多様性はむしろ日本よりも選択肢が広いと感じる人もいる。