Aldi・Coles・Woolworths——スーパー3社で見えるオーストラリアの階層構造
オーストラリアのスーパーマーケット市場はColes・Woolworthsの2強にAldiが食い込む構図。価格差、品揃え、立地から見える消費者の階層意識と在住者の賢い使い分けを分析します。
この記事の日本円換算は、1AUD≒100円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(AUD)の金額を基準にしてください。
オーストラリアに来て1週間もすれば、緑のWoolworthsと赤のColesが至る所にあることに気づく。この2社でオーストラリアのスーパーマーケット市場の約65%を占めている。そこにドイツ発のAldiが約10%のシェアで食い込み、3社で市場の4分の3を支配する構図になっている。
面白いのは、どの店を使うかが微妙に「自分がどの層に属するか」を表明する行為になっていること。
価格比較:同じ商品でどれだけ違うか
牛乳2L、食パン1斤、鶏むね肉1kg、パスタ500gといった基本食品で比較すると、概ね以下の傾向がある。
| 商品 | Aldi | Coles | Woolworths |
|---|---|---|---|
| 牛乳 2L | 2.69 AUD | 3.10 AUD | 3.10 AUD |
| 食パン(自社ブランド) | 1.09 AUD | 1.80 AUD | 1.80 AUD |
| 鶏むね肉 1kg | 8.99 AUD | 10.00 AUD | 11.00 AUD |
| パスタ 500g(自社ブランド) | 0.89 AUD | 1.00 AUD | 1.15 AUD |
※2025年時点の概算。店舗・時期により変動する。
Aldiは全体的にColes・Woolworthsより10〜30%安い。理由は単純で、取扱品目数が少ない(約1,500品目 vs. Coles・Woolworthsの約2万品目)、自社ブランド比率が90%以上、店内レイアウトが簡素でコストを圧縮しているからだ。
3社の使い分け
Aldi: 週末のまとめ買いに向いている。商品数が少ないため選択に迷わない。水曜・土曜の「Special Buys」で家電や雑貨が驚きの価格で出る。ただしエコバッグ持参が前提で、レジ袋は有料。
Coles: バランス型。自社ブランド「Coles Finest」は品質が良い。ポイントプログラム「Flybuys」でポイントが貯まり、Shell(ガソリン)の割引に使える。
Woolworths: 品揃えが最も豊富で、有機食品やプレミアムラインが充実。ポイントプログラム「Everyday Rewards」はQantas Frequent Flyerマイルに変換可能。日系食品(醤油・みりん・豆腐等)の取り扱いはWoolworthsが最も多い傾向がある。
アジア食材は別の店で
日本食の材料を本格的に揃えるなら、日系・アジア系食材店が必要になる。シドニーならEast Side Grocery(Chippendale)やTokyo Mart(Northbridge)、メルボルンならFuji Mart(Box Hill周辺)など。
ただし、Woolworthsの大型店では寿司用の酢飯セット、豆腐、枝豆、焼きそばソースなどが並んでおり、日常使いならスーパーだけでなんとかなるケースも増えている。
物価高とスーパーの政治性
2023〜2024年にかけて、ACCC(オーストラリア競争消費者委員会)がColes・Woolworthsの価格設定を調査している。「仕入れ価格が下がっても小売価格を下げない」という消費者の不満が、議会でも議論された。
この文脈で「Aldiで買い物をする」ことが、2大チェーンへの抗議行動の色合いを帯びることがある。オーストラリアの消費者は物価に対する怒りを投票とスーパーの選択で表現する傾向がある。