オーストラリアのメディケア、外国人は使えるのか
「医療費無料」のイメージがあるメディケアだが、外国人が使える条件は限られる。ワーホリ・留学・永住者それぞれの医療費の現実を整理する。
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「オーストラリアは医療費が無料」という話を聞いて渡航した人が、いざ病院に行くと全額自己負担だったというのは珍しくない。メディケアの「無料」は、全員に当てはまるわけではない。
メディケアとは何か
メディケアはオーストラリア政府が運営する公的医療保険制度で、対象者は公立病院の診察・入院を無料で受けられる。GP(一般開業医)での診察費もメディケアが負担する。
ただし「対象者」は決まっている。オーストラリア市民、永住者(PR)、そして日本を含む相互協定国の一部のビザ保持者だ。
日本人に適用されるケース
日本とオーストラリアは相互医療保険協定(RHCA)を締結している。これにより、一定の医療サービスについて日本人もメディケアを利用できる。
ただし対象は「即時治療が必要な医療」に限られる。緊急処置や急病での受診は対象になる一方、定期健診、歯科治療、眼科、予防接種、精神科などは対象外だ。
また、協定が適用されるのはメディケアカードを持っている場合に限られる。カード取得には申請が必要で、永住者でなくても協定対象者は申請できる場合がある。
ワーホリビザの場合
ワーキングホリデービザ(subclass 417・462)の保持者は相互協定の対象になる。ただし「即時医療」の定義は厳密で、すべての診察がカバーされるわけではない。
風邪・発熱程度でGPに行く場合は自己負担になるケースも多い。GPの診察料はバルクビリング(メディケアが直接請求する仕組み)対応のクリニックなら実質無料、非対応なら1回AUD70〜100(約6,720〜9,600円)かかる。
ワーホリ参加者には民間の海外旅行保険への加入が推奨されている。月AUD50〜100程度の保険料で歯科を除く多くのリスクをカバーできる商品がある。
留学ビザ(学生ビザ)の場合
学生ビザ保持者はメディケアに加入できない。代わりに「OSHC(海外留学生健康保険)」への加入が義務付けられており、ビザ申請時に証明が必要だ。
OSHC料金は保険会社・プランによって異なるが、1年間でAUD500〜700(約48,000〜67,200円)程度が目安だ。提携クリニックでの診察はカバーされるが、歯科・眼科は別途対応が必要なプランが多い。
永住者・市民権者の場合
PR以上であれば、フルのメディケア対象者になる。公立病院での入院・手術は自己負担なし。GPのバルクビリングクリニックで診察もほぼ無料だ。
ただし「公立病院は無料だが待つ」という現実がある。緊急性の低い手術や専門医への紹介状経由の受診は、数週間〜数ヶ月待ちになることも珍しくない。急を要しない症状でも待ち時間が長い場合は、民間クリニックを自己負担で受診するという選択が現実的だ。
歯科・メンタルヘルス
メディケアは一般的な歯科治療を対象外としている。歯科診療は完全自己負担で、虫歯の治療1本でAUD200〜400(約19,200〜38,400円)、被せ物になるとAUD1,000超えも一般的だ。
民間の歯科保険を追加で持つ人も多いが、既往症への適用外や待機期間があるため、渡航前から計画しておく必要がある。
メンタルヘルスは、GPがMental Health Treatment Planを作成すれば、心理士(サイコロジスト)への受診が年10回までメディケア適用になる仕組みがある。渡航後のメンタルヘルス対策として頭に入れておく価値がある。
まとめ
オーストラリアの医療は「永住者なら充実、それ以外はケースバイケース」が正確な表現だ。ワーホリや留学で渡航する場合は、メディケアに頼りすぎず、民間保険でどこまでカバーするかを出発前に確認しておくほうが安全だ。