オーストラリアの住宅危機——買えない・借りられない、それでも人が増え続ける理由
オーストラリアの住宅不足・家賃高騰の現状を解説。シドニー・メルボルンの賃貸市場の実態、外国人が直面する入居審査の難しさ、物件探しの現実的な方法、住居費が家計を圧迫する具体的な数字まで。
この記事の日本円換算は、1AUD≒100円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(AUD)の金額を基準にしてください。
シドニーに着いてすぐに部屋を探し始めた人が、2〜3ヶ月たっても見つからないという話は、今や珍しくない。
2022年以降、オーストラリアの住宅市場は「危機(crisis)」と公式に呼ばれるほど逼迫している。コロナ禍で一時的に止まっていた移民の受け入れが再開し、海外からの人口流入が急増。一方で住宅の新規供給は追いつかない。家賃が上がる、空き物件が減る、入居競争が激化する——この連鎖が続いている。
数字で見る家賃水準
2024〜2025年のシドニー・メルボルンの賃貸市場の目安。
| 間取り | シドニー(週額) | シドニー(月額/円換算) |
|---|---|---|
| ワンルーム | AUD 450〜650 | 約19万5,000〜28万1,500円 |
| 1ベッドルーム | AUD 550〜800 | 約23万8,000〜34万6,000円 |
| 2ベッドルーム | AUD 700〜1,100 | 約30万3,000〜47万6,000円 |
オーストラリアは家賃を「週額(weekly)」で表示する慣習がある。月額換算は週額×52÷12で計算できる。
シドニーのCBD(中心業務地区)周辺や東部郊外はさらに高い。郊外に行くほど下がるが、交通費と時間コストが増える。
入居審査のハードル
物件が見つかっても、外国人・新着の移住者には入居審査で厳しい現実が待つ。
オーストラリアの物件申し込みには、収入証明・雇用証明・過去の家主からのリファレンス(推薦書)・銀行残高証明などが必要なことが多い。到着直後で現地の雇用実績がない場合、リファレンスを出せず審査で落ちるサイクルに入りやすい。
人気エリアの人気物件には10〜30件の申込みが殺到し、内見から申込みまでを1日で判断する必要があることもある。
物件探しの現実的な方法
主要な物件情報サイトは「Domain」と「realestate.com.au」の2つ。これらで検索するのが基本だ。
外国人が初めて住む場合、いくつかの現実的な選択肢がある。
シェアハウス(ルームシェア):Flatmates.com.auで個室を探す。賃貸審査が不要なケースが多く、家具付きで初期費用も抑えられる。
ホステル・ゲストハウス長期泊:到着直後の数週間〜1ヶ月、ゲストハウスに滞在しながら物件探しを続けるパターン。費用はかかるが拠点として安定する。
サービスアパートメント:月単位の契約ができるサービスアパートメントは価格が高いが、審査なしで即入居できる。
なぜ人が増え続けるのか
住宅危機が続く中でも、オーストラリアへの移住者・留学生は増加している。永住権・就労ビザの取りやすさ、英語圏という利便性、生活の質の高さが、住居コストのデメリットを上回ると判断する人が多いからだ。
住居費は高い。これを前提に予算を組み、どのエリア・どの間取りで妥協できるかを渡航前に考えておくことが、到着後の混乱を減らす現実的な準備だ。