オーストラリア移民ポイントテストの現実:スコアより大事なもの
オーストラリアの永住権取得に使われるポイントテスト(EOI)の仕組みと、スコアを積んでも招待されないリアルな実態。職種・州ノミネートの重要性を解説。
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「65点あれば永住権が取れる」という情報で動いて、3年待っても招待が来ない——これは珍しい話ではない。オーストラリアの一般技術移民(Subclass 189)のポイントテストは、最低65点が「申請資格の下限」であって「招待が来る保証」ではない。
SkillSelectとEOIの仕組み
オーストラリアの技術系永住ビザは「SkillSelect」というシステムで管理されている。申請者はまずExpression of Interest(EOI)を登録し、ポイントスコアと職種・年齢などの情報を申告する。
移民局は定期的に「招待ラウンド」を実施し、スコアが高い順に招待状(ITA)を送る。招待を受けた人だけが正式なビザ申請に進める。
問題は「最低65点」と「実際に招待が来るスコア」の間に大きなギャップがあることだ。ITエンジニアや会計士のような人気職種では、招待ラインが85〜90点に達することも珍しくない。
ポイントの積み方
ポイントは以下の要素で構成される:
- 年齢:25〜32歳が最高点(30点)
- 英語力:IELTS各7.0以上で10点、各8.0以上で20点
- 職歴:オーストラリア国内外の関連職歴
- 学歴:オーストラリアの学位は加点
- 配偶者の英語力・職歴:加点あり
- 地方居住・留学歴:特定条件で加点
「65点」の内訳は年齢30点+英語10点+職歴+学歴で達成できるが、これだけでは競争に勝てない。
州ノミネート(190/491)の現実解
多くの人が実際に永住権を取得しているのは、州政府の推薦を使う190ビザや、地方居住を条件にした491ビザ経由だ。
州ノミネートは職種ごとに州が「必要な職業リスト」を持っており、そこに合致すれば追加5〜15ポイントと優先的な招待が得られる。ただし「ノミネートされたら指定の州に一定期間住む」という条件がつく。
QLD(クイーンズランド)やSA(南オーストラリア)はIT・医療・建設関連での受け入れに積極的な時期がある。どの州がどの職種を求めているかは年度ごとに変わるため、最新情報の追跡が必要だ。
日本人に多い落とし穴
日本のIT職歴をそのまま持ち込もうとしても、職種コード(ANZSCO)との一致が課題になる。「プロジェクトマネージャー」と「ソフトウェアエンジニア」ではコードが違い、スキルアセスメント機関(ACS等)での評価が分かれる。
英語については「日常会話レベル」と「ビザに使えるスコア」は別物だ。IELTSで各7.0を取るのは、英語を普通に話せる人でも準備なしには難しい。
現実的な準備
まず自分の職種がオーストラリアで需要があるか確認し、次にどの州ノミネートが現実的かを調べる。その上でポイントを最大化する計画を立てる——この順番が重要だ。
移民エージェント(RMA登録の正規エージェント)に相談するコストは数十万円かかるが、申請ミスで数年を無駄にするリスクと比べれば選択肢の一つになる。