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ネガティブギアリング——オーストラリアの不動産投資と税金の仕組み

ネガティブギアリングはオーストラリア特有の不動産投資税制で、ローン利息などの費用が家賃収入を上回る赤字を他の所得と相殺できます。仕組みと在住外国人への適用を解説します。

2026-04-30
オーストラリア不動産投資ネガティブギアリング税金投資

この記事の日本円換算は、1AUD≒100円で計算しています(2026年4月時点)。

オーストラリアで不動産投資の話をすると必ず出てくるのが「ネガティブギアリング(negative gearing)」という言葉だ。日本にはない税制の仕組みで、投資物件の赤字を給与所得等と合算して節税できる制度だ。

ネガティブギアリングとは

「ギアリング(gearing)」は借入による投資を指す。「ネガティブギアリング」は、投資物件のローン利息や維持管理費が家賃収入を上回っている状態——つまり投資が赤字の状態——を指す。

オーストラリアの所得税法上、この投資赤字は他の所得(給与所得等)と損益通算できる

例えば、年収90,000AUD(税率32.5%ブラケット)の人が、家賃収入20,000AUDに対してローン利息・管理費等の経費が30,000AUDかかった場合、赤字10,000AUDを給与所得から差し引いて課税所得を80,000AUDにすることができる。税率32.5%であれば約3,250AUDの節税になる。

キャピタルゲイン税との組み合わせ

ネガティブギアリングが人気なのは、将来の売却益(キャピタルゲイン)との組み合わせを見込んでいるからだ。

オーストラリアでは不動産を1年以上保有して売却した場合、キャピタルゲイン(売却益)の50%を免除される(CGT割引)。値上がり益の半分だけが課税対象になる計算だ。

「毎年の赤字で税金を還付してもらいながら、将来の値上がり益は半分非課税で受け取る」というのがネガティブギアリング投資の基本的な発想だ。

在住外国人・非居住者の扱い

外国人投資家がオーストラリアの不動産を購入する場合、FIRB(外国投資審査委員会)への申請が必要で、承認手数料が別途かかる。2025年時点で価格によって手数料が異なり、物件価格1,000,000AUD(約1億円)の新築物件では約14,100AUD(約141万円)程度。

永住権保有者や市民権保有者は規制が緩和される。就労ビザの一時居住者は新築物件のみ購入可能で、出国時には売却義務がある(中古物件は原則購入不可)。

キャピタルゲイン税の変更議論

連邦レベルでネガティブギアリングの廃止・縮小、CGT割引の見直しを求める政治的議論が定期的に起きている。ただし2024年時点では制度は維持されており、急激な変更は行われていない。ただし将来の税制変更リスクは投資判断の前提として知っておく価値がある。

物件価格の水準

参考として、主要都市の中央値(2024〜2025年頃の概算):

  • シドニー:約1,500,000AUD(約1.5億円)
  • メルボルン:約950,000AUD(約9,500万円)
  • ブリスベン:約850,000AUD(約8,500万円)
  • アデレード:約750,000AUD(約7,500万円)

物件価格が高いため、ローンの利息負担も大きく、ネガティブギアリングが成立しやすい環境でもある。実際の投資検討には豪州の税理士・不動産投資アドバイザーへの相談が前提になる。

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