オーストラリアのMedicare——日本人が使えるか・使えないかの現実
オーストラリアの公的医療制度Medicareは永住者・市民権者向け。ワーキングホリデー・学生・就労ビザの日本人がMedicareを使えるかどうか、使えない場合の海外旅行保険の必要性を整理する。
この記事の日本円換算は、1AUD≒100円で計算しています(2026年4月時点)。
オーストラリアの公的医療保険「Medicare(メディケア)」は、ビザの種類によって日本人が使えるかどうかが異なる。「オーストラリアで医療費が無料」という情報を鵜呑みにすると、病院で高額請求を受けることがある。
Medicareの基本
Medicareはオーストラリア政府が運営する公的医療制度。GP(家庭医)・専門医・病院での診察費・公立病院での入院費の大部分をカバーする。
対象者:
- オーストラリア市民権者
- 永住者(PR保持者)
- 特定の互恵協定国の市民(日本は含まない)
日本人ビザ別のMedicareアクセス
| ビザ種別 | Medicare対象 | 備考 |
|---|---|---|
| 市民権 | ○ | 完全適用 |
| 永住者(PR) | ○ | 完全適用 |
| パートナービザ(移行中) | 条件付き | ビザ種別による |
| 就労ビザ(482/186等) | × | 海外旅行保険が必要 |
| 学生ビザ(500) | × | OSHC(留学生医療保険)が必須 |
| ワーキングホリデー(417/462) | × | 民間保険が必要 |
| 観光ビザ | × | 旅行保険が必要 |
ワーキングホリデーの医療費
ワーキングホリデービザ保持者はMedicareの対象外。GP受診でも自己負担。
GP受診費: バルクビリングGP(Medicareが直接医院に支払う形式)は対象外者には適用されない。一般的な受診費は80〜120AUD(8,000〜12,000円)程度。
処方薬: PBS(医薬品給付制度)も非対象。薬代は全額自己負担。
救急・入院: 公立病院での救急受け入れは行われるが、非Medicareの場合は後日高額請求が来る可能性がある。
OHC / OSHCとは
OSHC(Overseas Student Health Cover): 学生ビザ保持者に加入義務あり。AUビザ申請時に同時に加入が求められる。最低限の医療カバー(GP・救急・処方薬)を提供するが、歯科・眼科・精神科は別途。
OVHC(Overseas Visitor Health Cover): 就労ビザ保持者向けの民間保険。482ビザ等では雇用主が負担する場合と自己負担の場合がある。
日本との社会保障協定
日本とオーストラリアの間には社会保障協定があるが、これは「二重払いの免除」が主目的で、医療給付の相互利用はカバーしていない。Medicareの利用とは別の話だ。
実際の選択肢
Medicareを使えないビザの場合、現実的な選択肢は:
- 民間の海外旅行保険(クレカ付帯含む): GPレベルの診察はカバー。入院・手術は保険の内容を確認
- AHM・NIB・MediBank等の海外訪問者向け保険: 年間200〜500AUD程度でGP・救急・一部の専門医をカバー
「医療費が高い」というイメージのオーストラリアで無保険で過ごすことは、リスクが高い。ビザ申請と同時に保険の確認をすること。