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オーストラリアのMedicare——外国人の加入条件と使い方

オーストラリアの公的医療保険Medicare。永住者は加入できるが、一時滞在者は条件付き。加入資格、カバー範囲、Bulk Billingの仕組み、民間保険との使い分けを解説する。

2026-05-05
Medicare医療保険健康

この記事の日本円換算は、1AUD≒100円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨(AUD)の金額を基準にしてください。

オーストラリアのGP(一般開業医)を受診して、会計窓口で「No charge」と言われる。全額Medicareがカバーするため自己負担ゼロ——Bulk Billingと呼ばれるこの仕組みは、日本の3割負担に慣れた人にとって驚きです。ただし、このBulk Billingを提供するGPが減っている、というのがオーストラリア医療の現在地です。

Medicareとは

Medicareはオーストラリアの公的医療保険制度で、1984年にHawke政権下で導入されました。財源は主に所得税の一部(Medicare Levy、課税所得の2%)で賄われています。高所得者には追加のMedicare Levy Surcharge(1〜1.5%)が課されることがあります。

カバー範囲は以下の通りです。

カバーされるカバーされない
GPの診察歯科治療
専門医の診察(GP紹介後)眼鏡・コンタクトレンズ
公立病院での入院・手術救急車(州による)
血液検査・X線等の検査理学療法(一部例外あり)
処方薬(PBS対象薬)美容目的の処置

歯科がカバーされないのは大きなポイントです。歯科治療は全額自費か、民間保険で補う必要があります。

外国人の加入資格

Medicareに加入できるのは、オーストラリア市民権・永住権保持者、および相互医療協定(RHCA)の対象国の市民です。日本はRHCA対象国なので、日本国籍保持者はMedicareに「限定的に」加入できます。

ただし、RHCAでカバーされるのは「すぐに必要な医療(immediately necessary treatment)」に限定されます。既往症の継続治療や、選択的手術(elective surgery)はカバーされません。待機手術の待ち時間(public hospital waiting list)に入ることもできません。

ワーキングホリデービザ(subclass 417/462)の場合、RHCAを通じてMedicareに登録できます。学生ビザ(subclass 500)の場合は、OSHC(Overseas Student Health Cover)という民間保険への加入が必須で、Medicareとは別の枠組みです。

Bulk Billingの現実

Bulk Billingとは、医師がMedicareの規定料金(MBS: Medicare Benefits Schedule fee)のみを受け取り、患者の自己負担がゼロになる仕組みです。

2024年時点のBulk Billing率は全GPの約72%(Australian Institute of Health and Welfare)。ただし、大都市と地方で大きな差があります。シドニーの都心部ではBulk BillingをやめてGap(自己負担)を設定するGPが増えており、1回の診察でAUD 40〜80(約4,000〜8,000円)の自己負担が発生することがあります。

Bulk Billing対応のGPを探すには、Medicare公式サイトの「Find a Doctor」機能を使うか、HotDoc(オンライン予約プラットフォーム)でBulk Billingのフィルターをかけて検索します。

民間保険との併用

Medicareでは歯科・眼科・理学療法がカバーされないため、民間保険(Private Health Insurance)を併用する人が多い。Hospital Cover(私立病院の入院・手術)とExtras Cover(歯科・眼科等)の2種類があり、月額AUD 100〜300(約10,000〜30,000円)程度です。

日本人在住者の使い方

永住権保持者はMedicareカードを取得して同条件で利用可能。一時滞在の場合はRHCAに基づく限定的なMedicare+民間保険の組み合わせが現実的です。日本語対応のGPはシドニーやメルボルンに数軒ありますが、Bulk Billingではなく1回AUD 80〜150(約8,000〜15,000円)の自己負担になることが多い。

Medicareは制度としては手厚い。ただし、Bulk Billing対応のGPが近くにあるか、待ち時間をどこまで許容できるかで体験が大きく変わります。

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