育休18週間では足りない?——オーストラリアの育児支援制度の現実と課題
日本の育児休業制度と比べると、オーストラリアは政府が支給する育休給付が比較的短い。一方で保育所補助や職場文化は異なる側面もある。二つの国の比較から、子育て支援の形を考える。
この記事の日本円換算は、1AUD≒97円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
「オーストラリアって子育て支援が手厚いのでは?」と思って来てみると、日本との違いにいくつか驚く点がある。
特に育休の給付期間は、日本と比べると短い。
政府の育休給付制度
オーストラリア政府は「Parental Leave Pay(PLP)」として、主たる養育者(多くは母親)に最長18週間(2024〜2025年時点、順次拡大予定)の給付を提供している。金額は最低賃金相当が目安だ(週779.60AUD前後、2024年時点の基準。最新はServicesAustraliaで確認)。
2週間の「Dad and Partner Pay」も父親・パートナー向けに別途あるが、合算しても20週間程度という水準は、欧州の育休制度(1年以上が普通)と比べると短い。
ただし大企業や政府機関は雇用主独自の育休制度を持っていることが多く、政府給付に上乗せして会社が給与の一定割合を支払う雇用主もいる。
保育所補助(CCS)の仕組み
0歳からの保育を支える制度として「Child Care Subsidy(CCS)」がある。収入に応じて保育費用の50〜90%程度を政府が補助する仕組みで、低所得世帯ほど高い補助率を受けられる(最新の補助率はServicesAustralia公式サイトで確認)。
ただし保育所の絶対数が足りていない地域では、補助があっても「空きがない」という問題がある。シドニー・メルボルンの人気エリアでは、妊娠発覚時点で保育所の待機リストに登録する、という文化がある。
日本との違い
日本の育児休業制度は最長2年(延長含む)で、雇用保険から育児休業給付金が支払われる仕組みだ。政府給付期間という点では日本の方が長い。
一方、オーストラリアの方が「早期職場復帰が文化的に受け入れられている」という側面がある。産後6ヶ月から保育所に預けて復帰する母親は珍しくなく、それを「かわいそう」と見る視線は日本より薄い傾向がある。
保育費の高さという壁
CCSの補助があっても、保育費は高い。1日50〜150AUD(約4,850〜14,550円)の保育所が多く、フルタイム5日利用すると月数十万円規模になりうる。
「補助を引いても保育費が家計を圧迫する」という状況は、共働き夫婦の間で現実的な問題だ。「仕事に戻っても保育費を払うと手残りがほとんどない」という声も聞かれる。
父親の育休利用
父親が育休を取ることへの社会的受容は、日本より高い傾向がある。もっとも「Dad and Partner Pay」自体が短いため、長期取得は難しい面もある。
北欧の長期育休モデルとも、日本の長い育休制度とも異なる、オーストラリア独自の「早期復帰+補助金」モデルの実態を、子育て計画の前に把握しておくことは重要だ。