皮膚がん発症率が世界最高水準——オーストラリアの紫外線は日本の感覚では防げない
オーストラリアの紫外線は日本の3〜5倍。在住日本人が知っておくべきUVインデックス、皮膚がん検診、日焼け止めの選び方と現地の紫外線対策文化を解説します。
この記事の日本円換算は、1AUD≒100円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(AUD)の金額を基準にしてください。
オーストラリア人の3人に2人が、70歳までに皮膚がんと診断される。この数字を聞いても、日本から来たばかりの人はピンとこない。東京の真夏に日焼け止めを塗らずに外出しても、皮膚がんのリスクを深刻に考える人は少ないからだ。
しかしオーストラリアの紫外線は根本的に違う。オゾン層が南半球の方が薄いこと、大気中の汚染粒子が少なく紫外線が遮られにくいことが重なり、シドニーの夏のUVインデックスは11〜13に達する。東京の夏は6〜8程度。WHOはUVインデックス8以上を「非常に強い」、11以上を「極端」と分類している。
「Slip, Slop, Slap, Seek, Slide」
1980年代にCancer Council Australiaが始めたキャンペーン「Slip, Slop, Slap」は、オーストラリアの子どもなら誰でも知っている。Slip on a shirt(シャツを着ろ)、Slop on sunscreen(日焼け止めを塗れ)、Slap on a hat(帽子をかぶれ)。後にSeek shade(日陰に入れ)とSlide on sunglasses(サングラスをかけろ)が追加された。
小学校では帽子なしでの屋外活動が禁止されている学校が多い。「No hat, no play」というルールだ。これは学校の方針ではなく、紫外線による健康被害を防ぐための実質的な社会制度として機能している。
日焼け止めの基準が違う
日本の日焼け止めはSPF50+/PA++++が最高レベルだが、オーストラリアではSPF50+が標準。薬局やスーパーに並ぶ日焼け止めはほぼ全てSPF50+で、SPF30以下を探す方が難しい。
Cancer Council Australiaが自社ブランドの日焼け止めを販売しており、価格は200mlで12〜18AUD(約1,200〜1,800円)。売上はがん研究に充てられる。日本のUV下地のような化粧品寄りの製品もあるが、ビーチやアウトドアにはウォータープルーフの厚塗りタイプが推奨される。
皮膚がん検診(Skin Check)
GPに皮膚科検診を依頼すると、ダーモスコピー(拡大鏡による皮膚検査)を受けられる。Bulk Billingで無料のGPもあるが、皮膚科専門医への紹介状が必要な場合もある。
専門クリニック(Skin Cancer Clinic)では全身チェックが150〜300AUD(約15,000〜30,000円)程度。メディケアの還付がある場合とない場合があるため、予約時に確認すること。
在住1年目に一度ベースラインの検診を受け、その後は年1回の定期チェックが推奨される。日本人は色白の人が多く、メラノーマのリスクが低いわけではない。
在住者の紫外線対策
実践的な対策は以下の通り。
- UVインデックスを毎朝チェック: Bureau of Meteorology(BOM)のアプリかウェブサイトで確認できる。3以上なら日焼け止め必須
- 10時〜14時の屋外を避ける: 紫外線が最も強い時間帯。ランチの外出も日陰を選ぶ
- 車のフロントガラスはUVカットだが、サイドガラスは不完全: 左腕だけ日焼けするドライバーは多い。UVカットフィルムの後付けは合法(州によりティントの濃さ制限あり)
- 冬でもUVインデックス3以上の日がある: シドニーの6月でもUVI 3〜4の日があり、油断できない