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サンデーペナルティレート——日曜日に働くと時給が1.5倍になる法律

オーストラリアでは日曜日に働くと時給が1.5〜2倍になる。Penalty Rateと呼ばれるこの制度の仕組み、業種別の倍率、在住者の働き方への影響を解説する。

2026-05-05
労働法時給Penalty Rate働き方

この記事の日本円換算は、1AUD≒100円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨(AUD)の金額を基準にしてください。

オーストラリアのカフェが日曜日に閉まっている、あるいは日曜日だけメニュー価格に10〜15%のサーチャージが加算される——日本では見かけない現象の裏にあるのがPenalty Rate(ペナルティレート)。日曜・祝日に従業員を働かせると、雇用主は通常の1.5〜2倍の時給を支払わなければならない法律です。

Penalty Rateとは

Penalty Rateは、Fair Work Act 2009(公正労働法)に基づく制度で、週末・祝日・深夜などの「通常外の時間帯」に働く従業員に追加の賃金を支払うことを義務づけています。

追加の倍率は業種(Modern Award)ごとに異なります。主な業種の日曜日の倍率は以下の通りです。

業種(Award)日曜日の倍率(フルタイム)日曜日の倍率(カジュアル)
Hospitality(飲食・宿泊)1.5倍1.5倍(+カジュアルローディング25%)
Retail(小売)1.5倍1.5倍(+カジュアルローディング25%)
Fast Food1.25倍1.25倍(+カジュアルローディング25%)

祝日(Public Holiday)はさらに高く、多くのAwardで2〜2.5倍になります。

2024-25年度のオーストラリアの最低賃金はAUD 24.10/時間(約2,410円/時間、Fair Work Commission)。日曜日にHospitality Awardで働くフルタイム従業員の時給はAUD 36.15(約3,615円)になる計算です。

なぜこの制度があるのか

Penalty Rateの根底にあるのは「週末は家族や休息の時間であり、その時間を犠牲にして働く人には補償が必要」という考え方です。

歴史的にはキリスト教の安息日(日曜日)の影響がありますが、現代では「ワークライフバランスの保護」という文脈で維持されています。オーストラリアの労働運動は世界的に見ても強力で、1856年にメルボルンの石工が世界で初めて「8時間労働制」を勝ち取った歴史があります。

カフェ・飲食店への影響

小規模な飲食店にとって、日曜日のPenalty Rateは経営を直撃します。

5人のスタッフを日曜日に8時間シフトで稼働させた場合、平日と比べて追加の人件費は以下のようになります。

  • 平日の時給がAUD 24.10 × 5人 × 8時間 = AUD 964
  • 日曜日の時給がAUD 36.15 × 5人 × 8時間 = AUD 1,446
  • 差額: AUD 482(約48,200円)/日

この追加コストを吸収するために、多くのカフェやレストランが日曜日に「Sunday Surcharge」(10〜15%の追加料金)をメニュー価格に上乗せしています。レシートに「Sunday surcharge 15%」と明記されているのを見たことがある人も多いでしょう。

あるいは、日曜日を休業日にする店も少なくありません。日本では日曜日に飲食店が閉まることは珍しいですが、オーストラリアでは合理的な経営判断です。

ワーキングホリデーでの体感

日本からワーキングホリデーで来た人が驚くのが、この倍率の恩恵です。「日曜日のシフトを取り合う」現象は、「日曜は休みたい」が普通の日本の職場文化とは真逆です。

祝日はさらに高く、多くのAwardで2〜2.5倍。クリスマスデーに最低賃金で働くと時給AUD 60.25(約6,025円)です。

在住者として働く場合も雇う場合も、Penalty Rateの存在を知っているかどうかで、収入や経営の計算が変わってきます。

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