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給料から自動で老後の貯金が積まれる——オーストラリアの「スーパー」制度を日本人が理解する

オーストラリアでは雇用主が給与の一定割合を老後積立(スーパーアニュエーション)として強制拠出する。日本の年金とは根本的に異なるこの仕組み、ワーホリや移住者にも関係してくる。

2026-06-04
スーパーアニュエーション老後資産退職金ワーホリ税金

この記事の日本円換算は、1AUD≒97円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

オーストラリアで働き始めた日本人が最初に戸惑うのが「スーパーアニュエーション(Superannuation)」の存在だ。給与明細に「Super」という項目があり、雇用主が別途積み立てている。

これは「年金」でも「退職金」でもなく、その中間のような制度だ。

仕組みの基本

2025年時点の法定拠出率は、給与の11.5%(段階的に引き上げられており、今後も変更予定)。雇用主は従業員の給与に加えてこの金額を専用のスーパー口座に拠出する義務がある。

たとえば時給25AUD(約2,425円)のパートタイム労働者が週20時間働くと、週500AUD(約48,500円)の収入。スーパーはその11.5%、つまり57.5AUD(約5,578円)が別途積み立てられる。

この金額は、原則として保存年金受給年齢(現在は60歳以降)まで引き出せない。

ワーホリにとっての「スーパー」

ワーキングホリデービザ(サブクラス462など)で働く外国人も、スーパーの対象になる。雇用主は拠出義務を持ち、本人名義のスーパー口座が開設される。

ポイントは「帰国時に全額引き出せる」こと。出国時に申請する手続き(DASP:Departuting Australia Superannuation Payment)を利用すると、積み立てられた金額を引き出せる。ただし、外国人が引き出す場合は65%の税金(Withholding Tax)が課される。

これを知らずに帰国してしまうと、お金が口座に眠ったままになる。ワーホリ経験者でスーパーを請求しなかった人は少なくない(推定)。

日本の年金との違い

日本の公的年金は「現役世代が高齢者を支える賦課方式」だ。一方、オーストラリアのスーパーは「自分が積み立てた資産を老後に使う積立方式」に近い。

財政的持続性という観点では積立方式の方が安定しやすいとされているが、若い世代が少ない社会では積み立てが十分に増えないというデメリットもある。そのため、オーストラリアも公的年金(Age Pension)を別途維持している。

スーパーはあくまで「私的老後資産の強制積立」であり、受給額が市場の運用成績に左右されるという側面もある。

運用先を選ぶ文化

スーパーの資産をどのファンドで運用するかは、自分で選択できる。デフォルトのバランス型から株式100%・インフラ中心・エシカル投資など、ファンドによって選択肢が異なる。

「自分のスーパーが何に投資されているか」を意識しているオーストラリア人は増えており、ESG投資への関心とも連動している。若い世代が「化石燃料に投資しているファンドは嫌だ」と乗り換えるケースも珍しくない。

長期滞在者の悩み

永住権取得後にオーストラリアに長期定住する日本人の場合、スーパーはいずれ向き合わなければならないテーマになる。60歳以降に引き出せる資産として、複利で増えていく一方で「日本に老後帰国した場合、どう受け取るか」という問題も出てくる。

税務上の取り扱いは複雑で、日豪租税条約の理解が必要になる。この辺りは税理士への相談が現実的な選択肢になる。

働いた分だけ、静かに積み上がっていく老後の資産。それがスーパーだ。

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