オーストラリアのスーパーアニュエーション——外国人労働者の年金積立と帰国時の受け取り方
オーストラリアで働く外国人は雇用主が給与の11%を強制積立するスーパーアニュエーション(退職年金)が発生する。帰国・永住権放棄時にDHLT(Departing Australia Superannuation Tax)を差し引いた額を受け取れる仕組みを整理する。
この記事の日本円換算は、1AUD≒100円で計算しています(2026年4月時点)。
オーストラリアで正規雇用で働くと、雇用主は給与の一定割合を「スーパーアニュエーション(Superannuation / スーパー)」として強制的に年金基金に積み立てる。日本人在住者にとって見落としがちな制度だが、積立総額が数百万円規模になることもあり、帰国前に必ず手続きを確認すべきだ。
スーパーアニュエーションの基本
積立率(Superannuation Guarantee): 2024年7月現在、給与の11%(2025年7月から11.5%に引き上げ予定)。雇用主負担で、従業員の手取りからは天引きされない別枠の積み立て。
基金(Fund): 選択式。Australian Super・Hostplus・QSuper等の主要基金か、雇用主指定の基金に自動加入。希望があれば変更可能。
運用: 基金が株式・債券・不動産等に投資運用。拠出額 + 運用益が将来の受取額になる。
外国人労働者の場合
外国人労働者も原則としてオーストラリア市民と同様に積み立てが発生する。長期就労の場合、数年で積立額が数万〜数十万AUDになることもある。
通常の受取条件: 退職年齢(Preservation Age、現在60歳)に達してから引き出せる。外国人が帰国後60歳まで凍結させるのは現実的ではない。
帰国・出国時の受け取り(DASP)
外国人がオーストラリアを出国する際、**DASP(Departing Australia Superannuation Payment)**という形でスーパーの積立額を受け取ることができる。
条件:
- 一時ビザ(ワーキングホリデー・学生・就労ビザ等)で入国した外国人
- オーストラリアを出国した後
- 永住権・市民権を取得していない
手続き: ATO(オーストラリア税務局)のオンラインポータルからDASP申請。
DASP税率: 非常に高い。Working holiday taxは65%。通常の一時ビザ保持者でも35〜45%の税金が差し引かれる。
例えば、ワーキングホリデーで1年間働いて10,000AUDのスーパーが積み立てられていた場合、DASP税65%を差し引くと3,500AUD(35万円)の受け取りになる。
注意点
忘れがちな積立額: 短期で複数の仕事を掛け持ちした場合、各雇用主が別々の基金に積み立てている場合がある。「積立がある気がするが確認していない」という人は、ATOの「Find my super」で照会できる。
低残高口座の自動移管: 残高が少ない休眠アカウントはATOに自動移管される。帰国前に自分のスーパーを一本化しておくと手続きが楽になる。
日本への送金: DASPで受け取った額はAUDで受け取り、為替転換して日本送金。Wiseを使えば転換コストを抑えられる。
スーパーは「もらえるお金」として存在しているが、手続きをしないと出国後にそのまま眠り続ける。帰国の3〜6ヶ月前から手続きの確認を始めるのが現実的なタイミングだ。