オーストラリアの修理・工事が遅い理由——トレードスマンの人手不足と高額費用の構造
オーストラリアで電気工事や水道修理を頼むと、数週間待ちになることもある。トレードスマン(職人)の慢性的な不足と高額な人件費の背景を解説。
この記事の日本円換算は、1AUD≒97円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
オーストラリアで水道の蛇口が壊れた。すぐに修理業者を呼ぼうとしたが、最短で2週間後しか空きがない。緊急対応なら来てくれるが、出張費だけで200AUD(約19,400円)かかる——こういう経験をする日本人は多い。
日本の感覚で「すぐ来てくれるはず」と思っていると面食らう場面だ。
トレードスマン不足は構造問題
電気工事士(Electrician)、配管工(Plumber)、大工(Carpenter)といったトレードスマンはオーストラリアで慢性的に不足している。コロナ禍の建設ラッシュ、移民受け入れの一時停滞、TAFE(職業訓練校)の定員問題が重なり、需要に供給が追いつかない状態が続いている。
オーストラリアの建設業ビザ(職業技術ビザ)の対象にトレードスマンが含まれているのはこのためだ。
料金は日本の2〜3倍感覚
電気工事士を呼ぶ場合、1時間あたり100〜150AUD(約9,700〜14,600円)が相場とされる。最低でも1時間分の費用が請求されることが多く、「コンセントを1個直すだけで1万円超」というのは珍しくない。
配管工も同水準で、エアコン設置の工事費は本体代とは別に300〜600AUD(約29,100〜58,200円)かかることがある。
賃貸なら修理はオーナー負担
賃貸物件に住んでいる場合、設備の故障は基本的にオーナー(大家)が修理費用を負担する義務がある。NSW州の「Residential Tenancies Act」をはじめ各州の借家人保護法により、修理を怠ることはオーナーの法的違反になる。
修理依頼は管理会社(Property Manager)経由で行い、メールや書面で記録を残しておくことが重要だ。口頭だけでは後から「言った・言わない」になりやすい。緊急性がある場合(お湯が出ない、トイレが詰まったなど)は24時間以内対応が義務付けられている州もある。
DIYが文化として根付いている
トレードスマン費用が高いため、オーストラリアでは自分で修理するDIY文化が日本より根付いている。Bunnings Warehouse(日本のコーナンやコメリに相当するDIY用品チェーン)はオーストラリア全国に展開しており、週末は家族連れで賑わう。
YouTubeで検索しながら自分で直すのは普通のことで、「業者を呼ぶ前にまず自分でやってみる」という姿勢が生活費節約の観点からも合理的だ。ただし電気系統の工事は無資格ではできないため、そこだけは業者に頼む必要がある。