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不動産投資

カナダ不動産投資——外国人購入禁止の「空家税」と、それでも市場に残る理由

2023年から2年間施行された外国人不動産購入禁止法(FIPA)の実態と例外、バンクーバー・トロントの市場動向、家賃規制、固定資産税、日本人が投資するパターンを整理する。

2026-04-09
カナダ不動産投資外国人バンクーバートロント空家税家賃規制

この記事の日本円換算は、1CAD≒110円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(CAD)の金額を基準にしてください。

2023年1月、カナダ政府は外国人の住宅用不動産購入を禁止する法律(FIPA: Prohibition on the Purchase of Residential Property by Non-Canadians Act)を施行した。「住宅高騰の原因は外国人投資家だ」という政治的プレッシャーへの対応だったが、実際の効果と例外の多さは施行後に明らかになっていった。

外国人購入禁止法(FIPA)の実態

FIPAは2023年1月〜2024年12月の2年間施行された(その後延長の議論が続いている)。禁止対象は「住宅用不動産」、特にコンドミニアムや一戸建て住宅。

ただし例外が多かった。

主な例外:

  • 永住権(PR)保持者 → 購入可
  • 就労許可(Work Permit)保持者で過去3年間継続就労し、過去年度にカナダで申告した人 → 購入可
  • 留学生(Student)で一定条件を満たす者 → 購入可($500,000以下の住宅に限定)
  • 商業用・農地・レクリエーション用不動産 → 対象外
  • 人口10,000人未満の地域の不動産 → 対象外

純粋な海外在住者・非居住者が対象の中心だったとも言える。カナダ在住の外国人の多くは例外に該当していた。

違反した場合の罰則は$10,000(約110万円)の罰金と売却命令。規制違反を支援した不動産業者にも同様の罰則が適用された。

なぜ「市場に残る理由」があるのか

規制があってもカナダ不動産市場への関心が続く背景には、構造的な理由がある。

人口増加が続いている: カナダの人口増加率は先進国の中でも高く、2023年の人口増加は約130万人(そのほとんどが移民・留学生)。住宅需要は増加を続けている。

住宅供給が需要に追いついていない: 特にバンクーバーとトロントでは、ゾーニング規制・建設コスト・用地不足が供給を制約している。需要過多の構造は短期間では解消しない。

家賃が上昇し続けている: 住宅価格が高騰する一方で、賃貸需要も増加しているため家賃は上昇傾向。賃貸収益(キャッシュフロー)への期待がある。

バンクーバー・トロントの市場

バンクーバー(ブリティッシュコロンビア州)

バンクーバーの住宅価格は全国最高水準。Greater Vancouver Area(GVA)の一戸建て中央値は2024年時点で$1,900,000(約2億900万円)前後と言われるほど高い。コンドミニアムでも$700,000〜$900,000(約7,700万〜9,900万円)が一般的な帯域。

加えてBC州は「Speculation and Vacancy Tax(投機・空室税)」と「Foreign Buyer Tax(外国人購入者税)」を設けている。バンクーバーを含む特定エリアで外国人が住宅を購入すると、2024年時点で物件評価額の20%の追加税が発生する。

キャップレートは2〜3%台と非常に低い。バンクーバーは「キャピタルゲイン(値上がり益)狙い」の市場として機能してきた。

トロント(オンタリオ州)

トロントのコンドミニアム中央値は2024年時点で$650,000〜$750,000(約7,150万〜8,250万円)前後。コロナ後の2021〜2022年に急騰した後、金利上昇(カナダ銀行が政策金利を0.25%→5%まで引き上げ)で2023〜2024年は軟調な局面もあった。

コンドミニアムは新築供給が多く、供給過剰の議論もある。特にダウンタウンの高層コンドは空室率上昇と価格下落の懸念が一部で指摘されている。郊外の一戸建てやタウンハウスは相対的に堅調。

比較項目バンクーバートロント
一戸建て中央値$1,900,000〜(約2.09億円〜)$1,100,000〜(約1.21億円〜)
コンドミニアム相場$700,000〜$900,000$650,000〜$750,000
外国人追加税購入額の20%(BC州)なし(オンタリオは廃止)
キャップレート目安2〜3%3〜4%

家賃規制の現実

カナダの家賃規制(Rent Control)は州ごとに異なる。

オンタリオ州: 2018年11月以降に建設された物件は家賃規制なし。それ以前の物件は年間増額率にガイドライン(2024年は2.5%)がある。テナントが退去すると市場価格に戻せるため、「ターノーバー戦略」(退去を誘導して家賃を市場価格に上げる)が問題になっている。

ブリティッシュコロンビア州: 2024年の年間増額上限は3.5%(全テナントに適用)。退去後も15%以内の増額に制限する「Vacant Unit Turnover Rent Increase」規制が2024年から適用されている。これは出口戦略に影響する。

日本人が実際に投資するパターン

カナダに在住・在勤する日本人が不動産投資を行う場合、一般的なパターンは限られる。

駐在員・永住者の自己居住用購入: 数年後の売却を念頭に置きつつ、居住しながら資産を保有するパターン。家賃より住宅ローン返済の方が安くなるエリアでは合理的な選択肢になることがある。

海外からの遠隔投資: FIPAの規制があるため、非居住者の日本人が住宅用不動産を購入することは原則として制限されている(一部例外を除く)。商業用不動産は制限を受けないため、商業用途の投資を選択するケースもある。

出口戦略(売却・帰国)を考えると、為替リスク(CAD/JPY)も重要な変数だ。CADが対円で下落した局面で売却すると、円換算で元本割れするリスクがある。


参考: Canada Mortgage and Housing Corporation(CMHC)「Housing Market Outlook」、BC Financial Services Authority「Foreign Buyer Tax」、Ontario Ministry of Municipal Affairs and Housing「Rent Increase Guideline」、Government of Canada「Prohibition on the Purchase of Residential Property by Non-Canadians Act」

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