アルバータ vs BC州——東西の大都市比較と在住者の選択
カナダ移住先として人気のバンクーバー(BC州)とカルガリー(アルバータ州)。家賃・税率・気候・仕事環境の違いを在住者の視点で比較する。
この記事の日本円換算は、1CAD≒110円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(CAD)の金額を基準にしてください。
「カナダに移住しようと思っているけど、バンクーバーとカルガリーどちらがいいですか?」——在住者コミュニティでよく聞かれる質問だ。答えは「何を優先するか次第」になるが、両者の違いは想像より大きい。気候も税率も産業構造も、かなり異なる場所だ。
最大の違い:州所得税
アルバータ州の最大の特徴は州所得税がゼロ(2026年現在)であることだ。カナダの全10州・3準州のうち、州所得税がないのはアルバータ州のみ。
手取りへの影響は大きい。例えば年収CA$80,000(約880万円)の場合:
| 州 | 連邦税 + 州税の合計 | 実質負担の差 |
|---|---|---|
| アルバータ州 | 連邦税のみ | 基準 |
| BC州 | 連邦税 + 州税約5〜12% | 数千〜1万CAD前後の差になることがある |
※ 税率は年度・所得区分により変動。National Revenue Agency(CRA)の公式計算ツールで要確認。
住居コスト
BC州のバンクーバーは北米でも最も住居費が高い都市の一つだ。
2025年末時点での目安:
- バンクーバー:1LDKの家賃 CA$2,400〜$3,200/月(約264,000〜352,000円)
- カルガリー:1LDKの家賃 CA$1,700〜$2,200/月(約187,000〜242,000円)
カルガリーの方が明らかに住居費は安い。ただし2022〜2024年にかけてカルガリーへの人口流入が急増し、家賃は上昇傾向にある。
気候の違い
バンクーバーは「カナダの中では温暖」と言われるが、雨が多い。年間降水量は約1,150mmで、11〜3月は曇りと雨が続く日が多い。「バンクーバーの冬はグレー(灰色)」という表現が地元住民に定着している。
カルガリーは晴天日が多い(年間約333日)一方、気温は低く、冬は−20℃以下になることがある。ただし「チヌーク(Chinook)」と呼ばれる暖気流が冬でも急に気温を上げることがあり、変化が激しい気候だ。
日本人の好みは分かれる。「雪は嫌だが雨もつらい」「太陽の光を優先したい」という場合はカルガリーの方が合うかもしれない。
産業と仕事環境
バンクーバー:ITテック企業(Amazon、Apple、Microsoftの北米第2オフィス等)、映画・エンタメ産業、観光業。アジア系コミュニティが大きく、日本語・中国語が通じる環境も多い。
カルガリー:石油・ガス産業が経済の基盤。エネルギー関連の企業が多く、エンジニア・地質学者の需要がある。近年はITおよびフィンテック系企業の進出も増えている。
エネルギー産業は油価変動の影響を受けやすい。「原油価格が下がるとカルガリーの景気が悪くなる」という関係性は過去に繰り返されており、リスクとして認識しておく必要がある。
日本人コミュニティ規模
バンクーバーはカナダ最大の日本人コミュニティを持つ。日本食レストラン、日系食材店、日本語の医療・法務サービスが充実している。孤独感を感じにくい環境だが、逆に「英語が伸びにくい」という声もある。
カルガリーの日本人コミュニティはバンクーバーより小規模だが、コンパクトな分「顔見知り」になりやすい。
結局どちらを選ぶか
シンプルに整理すると:
- 手取りを最大化したい・晴天が好き・エネルギー系の仕事がある→ カルガリー
- 日本語コミュニティ・温暖な気候・ITや多様な産業→ バンクーバー
どちらも住んでみないと分からない部分が多い。観光ではなく在住者として両方の街を経験した人の話を聞くのが、最も実感に近い情報になる。