オンタリオ州でビールを買うにはBeer Storeに行かなければならなかった——酒類販売の独占と改革
カナダ・オンタリオ州の酒類販売はLCBOとBeer Storeが長年独占してきたが、近年コンビニやスーパーでの販売が解禁された。在住者が知っておくべきアルコール販売の現状を解説する。
この記事の日本円換算は、1CAD≒113円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
日本からカナダに来た人が「え?コンビニでビール買えないの?」と驚く体験は、オンタリオ州に移住した人あるあるだった。ビールを買うには「Beer Store」か「LCBO(Liquor Control Board of Ontario)」という政府系酒類専売店に行かなければならず、しかも日曜は閉店時間が早い——という状況が長年続いていた。
LCBOとBeer Storeの仕組み
LCBO(オンタリオ州酒類管理委員会)は州政府が所有する酒類販売機関で、ワイン・スピリッツ・一部のビールを扱う。Beer Storeはオンタリオ州独自の組合型ビール専売店(大手ビールメーカーが実質的に所有)で、ビール・モルト飲料を扱ってきた。
「州が酒を管理する」という体制は、1920年代の禁酒法の名残でもある。
2024年以降の変化
オンタリオ州政府は2024年から段階的にスーパーマーケットやコンビニへのアルコール販売解禁を進めた。Loblaw、Sobeys、Metroなどの大手スーパーでビール・ワイン・RTD(Ready-to-Drink缶カクテル)が購入できるようになった。セブンイレブン等の一部コンビニでも販売が開始された。
「ようやく他の州並みになった」という声がある一方、「青少年へのアクセスが容易になる」という懸念も提起された。
BC州・アルバータ州との比較
BC州はLiquor Storeの他に一部のスーパーやガスステーションでもアルコールが購入できる。アルバータ州は1990年代に民営化が進み、私営の酒類販売店が多数ある。
オンタリオ州は長年最も規制が厳しかった州の一つで、今回の変化は大きな転換点だ。
価格と在住者の実態
カナダのビール価格は日本より高い。スーパーで6本パック(缶)が12〜16CAD(約1,356〜1,808円)程度が相場だ(ブランド・缶サイズによって異なる)。LCBO系列の売場ではLCBOの定価が基本で、割引はほぼない。
地元クラフトビールはBrewery Taproom(醸造所直営店)で購入・飲食するほうが新鮮で種類も豊富だ。オンタリオのクラフトビールシーンはここ10年で大きく発展しており、週末のブリュワリー訪問は在住者に人気のアクティビティだ。