サーモン漁業とカナダの漁業文化
カナダ太平洋岸のサーモン漁業は文化・産業・先住民族の権利が交差する複雑な世界。在加日本人が知っておきたい背景と、身近なサーモン文化を紹介します。
この記事の日本円換算は、1CAD≒110円で計算しています(2026年4月時点)。
バンクーバーのスーパーマーケットでは、チヌーク・コーホー・ソッカイ・ピンク・チャムの5種類のサーモンが並ぶ。日本で「サーモン」といえばアトランティックサーモン(養殖)が大半だが、カナダBC州では天然の太平洋サーモンが日常的な食材だ。
カナダのサーモン漁業の規模
BC州のサーモン漁業は歴史的にカナダ太平洋岸経済の中心だった。ただし近年は資源量の減少が深刻な問題となっており、漁獲割当(クオータ)の管理が年々厳しくなっている。連邦政府(Fisheries and Oceans Canada)が毎年漁獲可能量を発表し、商業漁船・先住民族漁業・レクリエーション漁業それぞれに配分が設定される。
フレーザー川に遡上するソッカイサーモンは特に象徴的な存在で、豊漁年と凶漁年の差が大きい。2019年は低水温の影響で記録的な不漁となり、翌年以降の管理規制に影響した。
先住民族と漁業権
カナダのサーモン漁業を語るうえで先住民族の漁業権は外せない。ファースト・ネーションズには条約または判例法に基づく漁業権があり、先住民族向けの漁業は「食料・社会・儀式目的(FSC)」として商業漁業より優先される。
この権利は1990年のSparrow判決(カナダ最高裁)で確立されており、BC州では現在も先住民族コミュニティがフレーザー川等での伝統的漁業を続けている。バンクーバー周辺のファーマーズマーケットで先住民族が販売しているスモークサーモンを目にすることもある。
在加日本人とサーモン
釣り好きの在加日本人にとってBC州は聖地のような場所だ。キャンベル・リバーやハイダ・グワイ(旧クイーン・シャーロット諸島)へのフィッシングツアーは日本人駐在員・移住者に根強い人気がある。1日のチャーターボート費用はCAD$300〜800(約33,000〜88,000円)程度。
日本食との相性という意味でも、BC産のチヌーク(キングサーモン)は脂のりが良く刺身・寿司に適している。バンクーバーの和食レストランでは「ワイルドBC産」として提供されることが多い。