カナダのフードバンクを使うのは路上生活者だけではない——利用者の変化と食料安全保障
カナダのフードバンク利用者数は近年急増し、その中に移民、フルタイム就労者、学生が含まれている。食料安全保障の現状と、在住者として知っておくべき社会のセーフティネットを解説する。
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「フードバンクを使う人はホームレスか、極端に困窮した人だ」——この認識は、少なくとも現在のカナダでは正確ではない。Food Banks Canada(カナダ全国フードバンク協会)の2023年の報告によれば、月間利用者数は過去最高を更新し続けており、利用者の中には移民、フルタイム就労者、学生が含まれている。
数字の現状
Food Banks Canada「HungerCount 2023」によると、2023年3月のカナダのフードバンク月間利用者数は190万人超を記録した(前年比で約32%増)。これは同団体が統計を取り始めて以来、最も高い数字とされている。
利用者の変化
かつてのフードバンク利用者のイメージ——無職、住居不安定——は今でも一部当てはまるが、利用者層は広がっている。
「ワーキングプア(働いているが収入が不十分)」の増加が指摘されている。特にトロントやバンクーバーでは家賃・食費が高騰し、最低賃金で働いていても生活費が足りないという状況がある。
移民・難民も利用者に含まれる。カナダに来て間もない期間は就労許可の手続き中であったり、専門資格の認定待ちで収入が少ない時期がある。こうした「過渡期の困窮」にフードバンクが機能している。
フードバンクの使い方
フードバンクは基本的に無料で食料を提供する非営利団体だ。大半は居住区のフードバンクで証明書類(住所証明等)が必要だが、要求される書類は施設によって異なり、緊急時はほぼ無条件で対応する場所もある。
トロントのDaily Bread Food BankやバンクーバーのVancouver Food Bankなど主要都市の大型フードバンクは、ウェブサイトで利用方法を公開している。
在住者にとっての意味
カナダに移住した直後、就労許可取得前の期間に収入がなくなる状況は珍しくない。「フードバンクは自分には関係ない」と思っていても、困ったときにどこに連絡するかを知っておくことには実用的な価値がある。
また、フードバンクへの寄附(食料・現金)や、ボランティア活動はカナダの市民参加の典型的な形の一つだ。地域コミュニティに溶け込みたいなら、フードバンクでのボランティアは言語障壁が低く参加しやすい選択肢でもある。