カナダの食文化——プーティン・サーモン・多民族料理
カナダに食文化はあるのか、という問いから始まります。プーティンから太平洋岸のサーモン、多民族都市の多様な料理まで。在住者が感じるカナダの食を紹介します。
この記事の日本円換算は、1CAD≒110円で計算しています(2026年4月時点)。
「カナダ料理って何?」という質問への答えは一筋縄ではいかない。英国・フランス・先住民族の伝統に加え、移民大国として世界中の料理が入り込んでいるため、「カナダの料理」を一言で定義するのが難しい。
でも確かに存在する。
プーティン(Poutine)
フライドポテトの上にチーズカード(cottage cheeseより粒感のある白いチーズ)をのせ、グレービーソース(肉の煮汁ベース)をかけたケベック発祥の料理だ。今ではカナダ全土のダイナー・ファストフード・高級レストランで食べられる。
価格はCAD10〜18(1,100〜1,980円)程度。評価が分かれる食べ物で「これがカナダ料理の象徴だと言われても困る」という在住者もいるが、深夜のダウンタウンで食べるプーティンは確かにカナダらしい体験だ。
太平洋岸のサーモン
バンクーバーとその周辺は、世界でも有数のサーモン産地だ。スーパーで売っているアトランティック・サーモンではなく、BC州産のチヌーク(King)・ソッカイ(Sockeye)・コホー(Coho)の野生サーモンは、脂のりと味の深さが全く違う。
バンクーバーのグランビルアイランドパブリックマーケットでは季節によって地元の野生サーモンを購入できる。刺身用として売られているわけではないが、日本のスーパーで購入するものとは鮮度と質が異なる体験になる。
多民族都市の食
トロントとバンクーバーは世界有数の多民族都市だ。トロントのサカルパ(インド系)、バンクーバーのリッチモンド(中国系)、モントリオールのリトルイタリー——それぞれのエスニックコミュニティが本国の料理を提供している。
日本食は両都市で充実している。回転寿司から本格的な懐石まで幅広く、在住日本人がいなくても日本食レストランは現地の需要で成立している。ラーメン文化も根付いており、バンクーバーの一部ラーメン店では週末に行列ができる。
日本人が苦戦するもの
スーパーの肉の質感。パン文化のなさ(ベーカリーは高くて限定的)。日本の調味料の入手可能ではあるが価格が高い——みりん1本がCAD10〜12(1,100〜1,320円)程度。日本食材専門スーパーへのアクセスが生活の質に直結する。T&T(中華系スーパー)は日本食材も一部扱っており、日系スーパーより安いことが多い。