カナダの銃規制——アメリカとは違うが「銃のない国」でもない
カナダの銃所持率は先進国の中でも高い。しかしアメリカのような銃乱射事件は(相対的に)少ない。カナダの銃文化と規制の仕組み、在留日本人が知っておくべきことを整理する。
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「カナダはアメリカと違って銃が少ない国でしょう?」——日本から来たばかりの人がよく思うことだ。実際はそうではない。
カナダは「銃の多い国」のひとつで、人口100人あたりの銃所持数は日本と比べると格段に多い(Small Arms Surveyなどの推定データによる)。ただし銃暴力の発生率は確かにアメリカより低い。
カナダの銃所持の法的仕組み
カナダで銃を所持するには「火器所持ライセンス(PAL: Possession and Acquisition Licence)」が必要だ。取得には安全講習の受講・身元調査・待機期間が必要で、無制限に誰でも購入できるわけではない。
銃は使用目的によって三つのカテゴリに分かれる。「無制限(Non-Restricted)」はライフルや散弾銃で狩猟・農業用に広く使われる。「準制限(Restricted)」はハンドガンなどで、射撃場での使用に限定される。「禁止(Prohibited)」はAR-15など特定の銃器で、一般市民は取得できない(既存保有者の祖父条項あり)。
銃が多い理由
カナダは国土が広大で、農村・農場での鳥獣対策としての銃が必要な地域が多い。ハンティング(狩猟)文化も根強く、アルバータ・サスカチュワン・北部州では秋の鹿・ムース・ヘラジカ猟が季節のイベントになっている。
都市部では郊外のスポーツ射撃クラブもある。
2022〜2023年の規制強化
2020年のノバスコシア州銃乱射事件(22人死亡という大規模な事件)を受け、トルドー政権はアサルトスタイル銃器(AR-15等)の使用禁止令を出し、その後買取プログラム(Buyback)を推進した。
2022年には拳銃の新規購入・輸入を事実上禁止する法律が成立した(既存の合法所持者には影響しない形で設計されたが、詳細は複雑)。
在留日本人への意味
日本から来ると「街中に銃がある」という感覚は薄い。実際、都市部での日常生活では銃を目にすることはほとんどない。農村部でも、所持している人の多くは狩猟・農業用に自宅の鍵のかかった保管箱に入れている。
ただし犯罪統計では、カナダの銃関連犯罪の一定割合は米国からの密輸銃によるとされる。国境管理が完全ではない中で、合法・非合法の銃が混在する現実がある。