カナダの住宅危機——トロント・バンクーバーの家賃がなぜここまで上がったか
カナダの住宅価格・家賃が急騰した構造的な要因と、政府の対策の現状。日本人在住者が直面する住居費の現実と、比較的安いエリアの選択肢。
この記事の日本円換算は、1CAD≒105円で計算しています(2026年4月時点)。
「カナダに移住するなら、家賃だけで覚悟が必要」——この数年で、これを実感する日本人が増えた。
カナダは移民政策の積極化と住宅供給不足が重なり、2010年代後半から2020年代にかけて住宅価格・家賃が急騰した。
主要都市の家賃相場(2025〜2026年頃)
| 都市 | ワンベッドルーム(月額目安) | ツーベッドルーム(月額目安) |
|---|---|---|
| バンクーバー | CAD 2,500〜3,500(約263,000〜368,000円) | CAD 3,500〜5,000(約368,000〜525,000円) |
| トロント | CAD 2,200〜3,200(約231,000〜336,000円) | CAD 3,000〜4,500(約315,000〜473,000円) |
| モントリオール | CAD 1,400〜2,000(約147,000〜210,000円) | CAD 1,800〜2,800(約189,000〜294,000円) |
| カルガリー | CAD 1,600〜2,400(約168,000〜252,000円) | CAD 2,100〜3,000(約221,000〜315,000円) |
| エドモントン | CAD 1,200〜1,800(約126,000〜189,000円) | CAD 1,600〜2,400(約168,000〜252,000円) |
バンクーバー・トロントは東京の都心並みかそれ以上の家賃水準だ。
なぜここまで上がったか
1. 移民受入の急増:カナダ政府は年間40〜50万人規模の移民を受け入れる計画を立てた。移民の多くが都市部(トロント・バンクーバー・カルガリー等)に集中し、住宅需要が急激に増えた。
2. 住宅供給の遅れ:建設許可・ゾーニング規制・建設コスト高騰により、供給が追いつかない。特にバンクーバーは地理的制約(海・山に囲まれた地形)で開発可能な土地が限られる。
3. 投資・投機需要:不動産を投資目的で保有する動きが、実需を超えた価格上昇を招いた。政府は外国人による不動産購入の一時禁止措置(2023〜2025年)等で対応したが、効果は限定的という評価もある。
4. 金利上昇の影響:2022〜2023年の急激な金利上昇で住宅ローンの返済コストが増加し、住宅購入をあきらめた層が賃貸市場に流入。家賃がさらに上昇した。
政府の対策と限界
連邦・州政府はHomeBuilders Plan・賃貸住宅への税制優遇・住宅供給目標(2031年までに380万戸)等を発表しているが、即効性は限られる。
建設は完成まで数年かかる。政策効果が家賃に反映されるには時間がかかる。
住居費を抑える選択肢
- モントリオール:英仏バイリンガル都市。バンクーバー・トロントより家賃が大幅に安い(ただしフランス語環境)
- カルガリー・エドモントン:アルバータ州は石油産業の拠点。家賃はBC州・オンタリオ州より安め
- 郊外(ミシサガ・サリー等):トロント・バンクーバーの衛星都市。家賃は安くなるが通勤時間が増える
- シェアハウス・ルームシェア:家賃を分担することで、単身でも都市部に住むコストを下げられる
カナダの住宅問題は在住日本人にとっても切実だ。「カナダは豊かな国」というイメージと、「家賃で給料の半分が消える」という現実は、両方本当のことだ。