カナダの住宅市場は「崩壊」するのか——バブルと言われ続けて20年
バンクーバーの平均住宅価格が1億円超、トロントも同水準。「崩壊が近い」という警告は10年以上言われ続けている。2024〜2026年の実際の動向と、在留者が知っておくべき住宅市場の構造。
この記事の日本円換算は、1CAD≒113円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
「バンクーバーは世界で最も住みにくい都市になった」と言う人がいる。美しい自然・温暖な気候・多文化社会——すべては良いが、住宅が買えない。
バンクーバーの一戸建て平均価格は200万カナダドル(約2億2600万円)前後で推移している地域もある(カナダ不動産協会CREA等のデータをベースに、地域・時期によって大きく異なる)。
なぜこんなに高くなったか
理由は複合的だ。
移民の大量流入:カナダは毎年40〜50万人規模の永住者受入目標を掲げてきた(2021〜2023年実績ベース)。特にトロント・バンクーバーへの集中が住宅需要を押し上げた。
海外投資:中国を中心とする海外富裕層によるバンクーバー・トロントの不動産取得が価格を押し上げたとされる。BC州は2018年に外国人購入者税(外国人追加転送税)を導入したが、効果については議論が続いた。
住宅供給不足:建設コスト・規制・ゾーニング(用途地域)制限により、需要に見合った住宅供給が追いつかない。特にバンクーバーは山・海・国境に囲まれた地理的制約もある。
2022〜2024年の変動
2022年以降の急激な金利上昇(カナダ銀行の政策金利が0.25%から5%超へ)により、住宅市場は一時的に冷え込んだ。価格が15〜20%調整した地域もある(推定・地域差大)。
しかし「崩壊」には至らなかった。2024〜2025年に金利が下がり始めると需要が戻る動きも見られた。
賃貸派の増加
住宅購入が難しい層の多くが長期賃貸に移行した。その結果、賃貸市場も逼迫している。バンクーバーのワンベッドルームアパートの賃料は月2500〜3500カナダドル(約28万〜40万円)という水準が珍しくない。
在留日本人の多くは「買うのは現実的ではない」と判断して賃貸で生活する。コンドミニアムシェア、スタジオ、ルームシェアといった選択肢でコストを抑える工夫が日常的だ。
外国人規制の強化
2023年、カナダは一時的に外国人の住宅購入を禁止する「外国人住宅購入禁止法(Prohibition on the Purchase of Residential Property by Non-Canadians Act)」を導入した(2023〜2025年の時限立法として)。
永住権保持者は対象外で、就労ビザ保持者も条件付きで購入可能だ。カナダ市民・永住権者なら規制なく購入できる。