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カナダの家主は「気に入らない借主を突然追い出せない」——テナント保護法の実態

カナダ・オンタリオ州のResidential Tenancies Act(住宅賃貸法)はテナント保護が強い。家主が正当な理由なく退去を求めることは難しく、トラブルはLandlord and Tenant Boardが処理する仕組みを解説する。

2026-07-15
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カナダ・オンタリオ州でアパートを借りると、テナント(借主)の権利が非常に強い。家賃を払っている限り、家主が「出て行け」と言っても即座に従う必要はない——これを知っておかないと、不当な退去要求に対応できない。

Residential Tenancies Act(RTA)の概要

オンタリオ州のRTAはテナントと家主の権利義務を定める法律で、テナントを守る規定が多い。主なポイントは次の通りだ:

  • 家主は正当な理由(自己使用、建物改修、未払い家賃等)がなければ退去通知を出せない
  • 退去通知を出しても、テナントが不服申立てをすれば自動的には退去義務が発生しない
  • テナントは退去通知に異議を唱え、LTB(Landlord and Tenant Board)に申請できる

家主側の「自己使用(N12)」通知の問題

近年問題になっているのが「N12(家主または家族が自ら居住する)」を理由にした退去通知だ。家主は家族が引っ越すという理由で通知を出せるが、テナントが退去後に家主が本当に入居せず別のテナントに貸すケースが報告されている。

この行為は違法で、テナントは申立てが可能だ。しかし証明が難しく、問題になることがある。

LTB(家主・テナント委員会)の機能

LTBはオンタリオ州の準司法機関で、家主とテナントの紛争を審理する。申請費用はテナント側が100〜200CAD程度(推定・申請種別による)。聴聞会はオンラインでも実施されている。

LTBの待ち時間は申請から数カ月〜1年程度かかることもあり(推定)、処理能力の問題が指摘されている。

在住者として知っておくこと

引っ越し先の賃貸物件で家主から理不尽な退去要求が来た場合、まずは住んでいる自治体のテナント支援サービスやリーガルエイド(無料法律支援)に相談する選択肢がある。

トロントではTenant Defence Fund(テナント支援基金)やPARC(法律クリニック)など、無料でアドバイスを受けられる機関がある。「知らないと損をする権利」がカナダの賃貸には多い。

家主側の視点も

一方でテナント保護が強すぎるため「良い家主が小規模物件から撤退し、市場に物件が出なくなる」という批判もある。家賃を全く払わないテナントを退去させるのに半年以上かかる事例もある。

バランスの取れた制度設計は難しく、政治的な議論が続いている。どちら側の立場であっても、RTAの基本を知っておくことで適切な対応ができる。

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