カナダの育休は最長18ヶ月——制度の中身と在カナダ日本人が知るべき落とし穴
カナダの育児休暇は最長18ヶ月取得可能。ただし給付率は33%に下がる。EI(雇用保険)の仕組み、申請方法、日本の育休との違いを在カナダ日本人向けに解説。
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カナダの育児休暇は最長18ヶ月。日本の育休(原則1年、最長2年)と比べても長い。だが「18ヶ月取れる」と「18ヶ月分の収入が保障される」は全く違う話だ。
2つのプラン——StandardとExtended
カナダの育児給付(Parental Benefits)にはEI(Employment Insurance)を通じて2つのプランがある。
Standard Plan(12ヶ月):
- 期間: 最大40週間(両親合計。片方の上限は35週間)
- 給付率: 給与の55%(上限あり。2025年の最大支給額は週$668=約7.5万円)
Extended Plan(18ヶ月):
- 期間: 最大69週間(両親合計。片方の上限は61週間)
- 給付率: 給与の33%(上限あり。最大支給額は週$401=約4.5万円)
総支給額はどちらのプランでもほぼ同じだ。Extendedは期間を引き伸ばす代わりに月額が下がる。トータルで受け取る金額は変わらない設計になっている。
産前の「Maternity Benefits」は別枠
出産する側(通常は母親)には、育児給付とは別にMaternity Benefitsとして最大15週間の休暇が与えられる。給付率は55%。出産予定日の12週前から取得可能だ。
つまりStandard Planを選んだ母親の場合、Maternity 15週 + Parental 35週 = 最大50週間(約11.5ヶ月)の有給休暇となる。
申請の注意点
- 待機期間: EI申請後、最初の1週間は給付なし
- 就労時間の要件: 過去52週間に600時間以上の就労が必要。パートタイムだと条件を満たさないことがある
- 申請タイミング: 出産後すぐに申請する。遅れると給付開始が後ろにずれる
- 両親の分配: Standard Planの40週を夫婦で好きに分けられる。ただし「use-it-or-lose-it」で片方が5週間を取らないとその分は消える
雇用主のTop-up
EIの給付率は55%で、上限もある。多くの雇用主はTop-upとして差額の一部を補填する。連邦政府職員は給付の93%まで補填される。大手企業もTop-upを提供しているところが多い。
ただしTop-upはStandard Planにのみ適用されることが多い。Extended Planを選ぶと、Top-upの対象外になるケースがある。プラン選択の前に雇用契約を確認するのが先決だ。
日本の育休との比較
日本の育児休業給付金は最初の180日が給与の67%、以降は50%。カナダのStandard Plan(55%)と比べると、日本の方が最初の半年は手厚い。
大きな違いは「父親の取得率」だ。カナダではQuebec州を筆頭に父親の育休取得が進んでおり、連邦レベルでも「use-it-or-lose-it」の5週間が父親の取得を促している。日本の父親の育休取得率は約30%(2023年度)だが、カナダでは約75%の父親が何らかの形で育休を取っている。
在カナダ日本人の注意点
- 日本の年金: カナダで育休を取っている間も、日本の国民年金の任意加入を続けていれば将来の年金額に影響しない
- 確定申告: EI給付は課税対象。翌年のTax Returnで申告が必要
- PR(永住権)ステータス: 育休中もカナダ在住としてカウントされるので、永住権の居住要件には影響しない
18ヶ月という数字だけ見ると夢のような制度に見えるが、給付率33%で1年半を乗り切れる家計設計が必要だ。12ヶ月プランとの実質的な違いを理解した上で選択する方が後悔は少ない。