カナダPRカード更新と渡航制限——永住権を失わないための実務ガイド
カナダの永住権(PR)カードの更新条件、居住義務、国外滞在中の注意点をまとめます。5年中2年のルールを正しく理解しないと、永住権を失うリスクがあります。
この記事の日本円換算は、1CAD≒112円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(CAD)の金額を基準にしてください。
カナダの永住権(Permanent Residence)には有効期限がありません。しかしPRカードには有効期限があります。この区別を理解していない人は少なくありません。PRカードの有効期限は5年間で、更新時に「直近5年間のうち730日(2年間)以上カナダに物理的に滞在していたこと」が求められます。
PRカードと永住権の違い
永住権のステータスそのものは、正式に放棄するか、IRCCの審判で取消される場合を除き、自動的に失効することはありません。
PRカードは、カナダに入国する際に航空会社に提示する身分証明書です。PRカードがなくても永住権は維持されますが、PRカードなしではカナダ行きの商用便に搭乗できません。
つまり、PRカードが失効した状態でカナダ国外にいると、通常の手段ではカナダに戻れなくなります。
居住義務(Residency Obligation)
PRカードの更新審査では、以下の計算が行われます。
- 審査対象期間: PRカード申請日から遡って5年間
- 必要日数: 730日以上カナダに物理的に滞在していること
カナダ国外にいた日数でも、以下の場合はカナダ滞在としてカウントされます。
- カナダ国籍の配偶者に同伴して国外に滞在していた場合
- カナダ企業または連邦・州政府の業務でカナダ国外に駐在していた場合
日本企業の日本本社から派遣されてカナダで勤務し、その後日本に帰任した場合は、帰任期間はカナダ滞在にカウントされません。
更新手続き
PRカードの更新はIRCCのオンラインポータルまたは郵送で申請します。
必要書類は以下です。
- 申請書(IMM 5444)
- 写真(IRCC規格に準拠)
- 現在のPRカード(期限切れでも)
- パスポートのコピー(過去5年分の全ページ)
- 居住証明書類(税務申告書、雇用記録、賃貸契約書等)
処理費用: $50(約5,600円)(2024年時点) 処理期間: 通常42〜117営業日(IRCCの処理時間は変動します)
日本に一時帰国する際の注意
長期帰国のリスク: 家族の事情で日本に1年以上帰国すると、5年中2年の居住義務を満たせなくなるリスクが出てきます。帰国期間を計画する際は、IRCCの居住日数計算ツール(ircc.canada.ca)で事前に確認することを推奨します。
PRカード失効中の渡航: PRカードが失効した状態でカナダ国外にいる場合、PRTDの申請が必要です。PRTD(Permanent Resident Travel Document)は、カナダ国外の大使館・領事館で申請でき、カナダへの1回限りの入国を許可する書類です。処理に数週間かかる場合があるため、緊急帰国の際は注意が必要です。
永住権の放棄・喪失
居住義務を満たせない場合、IRCCから「居住義務不遵守」の通知が届きます。人道的・やむを得ない理由(Humanitarian and Compassionate grounds)で抗弁する機会が与えられますが、審理の結果、居住義務を満たしていないと判断されれば永住権が取り消される可能性があります。
実務的なアドバイス
- 出入国記録を保管する: パスポートのスタンプのコピーを保管する。カナダのEntry/Exit Initiativeで航空便は自動記録されるが、陸路は記録されない場合がある
- 税務申告を続ける: カナダ居住者としてT1を続けることは居住の証拠として有効
- 期限切れの6ヶ月前には更新申請を開始する