プレーリーを走る——カナダの穀倉地帯、サスカチュワンの圧倒的な平らさ
サスカチュワン州とマニトバ州はカナダの「プレーリー(大平原)」だ。地平線まで小麦畑が続く。人口密度が極めて低く、農業と天候が生活を支配する。都市とは全く異なる暮らし方がある。
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カナダを東西に横断する列車か車の旅をすると、オンタリオ州を過ぎたあたりから景色が変わり始める。木が減る。丘が消える。そして気づいたときには、どこまでも続く平原の中にいる。
プレーリーだ。
サスカチュワン州の地理
サスカチュワン州は日本の総面積の約1.7倍の面積を持つが、人口は約120万人程度(推定、2020年代)。人口密度は日本の100分の1以下だ。
農地の割合が極めて高く、州の南半分は小麦・カノーラ(菜種)・大麦・レンズ豆などの農業地帯が続く。カナダはカノーラの世界最大の輸出国の一つで、その多くがサスカチュワンとアルバータで生産される。
地平線という体験
初めてプレーリーを走ると、「地平線が見える」という感覚の意味が分かる。空が大きい。どちらを向いても地平線まで遮るものがない。夜は天の川が見えるほど星が多い。
竜巻(トルネード)の発生地帯でもあり、夏には巨大な積乱雲がプレーリー上空で発達する「スーパーセル」と呼ばれる現象が見られることがある。
プレーリーで暮らすということ
州都レジャイナとサスカツーンが主要都市だが、それ以外は小さな農村が点在するだけだ。最寄りのスーパーまで1時間という環境も珍しくない。
農業カレンダーが生活を支配する。春の播種、夏の管理、秋の収穫——農業コミュニティは季節に合わせて動く。農業機械の進化で一家族が数百〜数千ヘクタールを管理するようになり、農村の人口は減り続けている。
移民コミュニティの存在
サスカチュワンにはウクライナ系・ドイツ系・メノナイト(宗教的少数派キリスト教徒)の歴史的コミュニティがある。20世紀初頭に入植した農業移民の子孫が今もコミュニティを維持している。
近年はフィリピン・インド・中国からの移民が増え、農業・医療・建設分野で働いている。州のノミニープログラム(SINP)が移民を積極的に受け入れてきた。
日本人にとってプレーリーは観光で来ることはほとんどないが、ドライブ旅行の途中に体験する価値はある。あの平らさは「北米大陸の骨格」を感じさせてくれる。