カナダの医療は無料ではない——州ごとに異なるヘルスカード制度と外国人の実態
カナダの公的医療(ユニバーサルヘルスケア)は州政府が管轄し、ヘルスカードがなければ費用は全額自己負担。待ち時間問題・州間移動での無効・外国人の加入条件を解説。
この記事の日本円換算は、1CAD≒107円で計算しています(2026年4月時点)。
「カナダの医療は無料」というイメージは半分正しい。公的医療制度(ユニバーサルヘルスケア)が存在し、ヘルスカードを持つ対象者は医療費の大部分が無料になる。
ただし「誰でも・すぐに・無料で」ではない。
ヘルスカードと州の管轄
カナダの医療制度は連邦政府が枠組みを設定し、各州が独自に管理・運営する。つまりヘルスカードは州ごとに発行され、オンタリオ州のOHIPカード(Ontario Health Insurance Plan)でBC州の医療機関に行っても、扱いが変わることがある。
主な州のヘルスカード名:
- オンタリオ州: OHIP
- ブリティッシュ・コロンビア州: MSP(Medical Services Plan)
- アルバータ州: AHCIP
- ケベック州: RAMQ(フランス語)
外国人・新着者の加入条件
多くの州で、ヘルスカードの適用が始まるまで3ヶ月の待機期間がある。
オンタリオ州の例:
- 到着後3ヶ月はOHIPの対象外
- 3ヶ月経過後に申請するとカードが発行される
- 対象: 市民・PR・特定の就労ビザ保持者等
この3ヶ月間、医療機関を受診すると全額自己負担になる。1回のGP受診で100〜200CAD(1万〜2.1万円)、救急外来は数千CAD(数十万円)になる可能性がある。
対策: 到着後3ヶ月間は渡航保険・民間保険でカバーする。
待ち時間の現実
カナダの公的医療の最大の課題は待ち時間だ。
- GPへのアクセス: 新規患者を受け入れるGP(かかりつけ医)を見つけることが難しい。一部の地域では「GPを持てない」住民が存在する。
- 専門科受診: GPからの紹介後、専門科(整形外科・精神科・眼科等)の待ち時間は数ヶ月〜1年以上になるケースがある。
- 救急外来: 緊急度によってトリアージされ、軽症者は数時間〜十数時間待つこともある。
Fraser Institute(カナダのシンクタンク)の調査によれば、GPから専門科までの中央値待ち時間は全国平均で20〜27週とされている(2023年)。
民間保険の活用
カナダでは歯科・眼科・処方薬は公的保険の対象外(州によって異なる)。多くの雇用主が福利厚生として歯科・眼科・薬代をカバーする民間保険を提供している。
自営業・フリーランスの場合は個人で民間保険に加入する必要がある。
「医療が無料だから医療コストの心配がない」は誤り。歯医者・眼鏡・薬代・海外渡航中の医療は別途計算が必要だ。