先進国カナダで、ネットがつながらない場所がまだ広く残っている理由
通信先進国に見えるカナダでも、広大な農村部では高速インターネットが届かない地域が残る。国土の広さがデジタル格差を生む構造を、在住者の視点から読み解く。
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カナダは先進国だ。都市部では高速インターネットが当たり前で、リモートワークもオンライン授業も普通にこなせる。ところが、都市を少し離れると話が変わる。農村や奥地では、安定した高速通信が届かない地域が今も広く残っている。
スマホ一つで何でもできる時代に、なぜ先進国の国内で通信格差がこれほど残るのか。答えは、カナダの地理そのものにある。
広すぎる国土が回線を阻む
日本の感覚では、国全体に通信網が張り巡らされているのが普通だ。だが日本の国土は狭く、人口が密集している。一方カナダは、日本の何十倍もの面積に、人口がまばらに散っている。
光ファイバーを引くにも、基地局を建てるにも、距離が長くて人が少ない地域では採算が合わない。一軒の家のために何キロもケーブルを敷く費用は莫大だ。市場原理に任せれば、人の少ない場所は後回しになる。デジタル格差の正体は、技術の問題ではなく、距離と人口密度の問題だ。
衛星という別解
この空白を埋める手段として、衛星インターネットが注目されている。地上のケーブルに頼らず、空から電波を届ける。理屈の上では、どんな僻地でもつながる。実際、これまで取り残されてきた地域に通信をもたらす動きが進んでいる。
ただし、衛星にもコストや天候の影響などの制約があり、都市部の光回線と同等とはいかない面もある。それでも、地形に縛られない通信手段が、広大な国の格差を埋める鍵になりつつある。
在住者・移住者が知っておくこと
カナダで都市を離れた場所に住むことを考えるなら、通信環境は事前に確認すべき項目だ。「自然豊かな田舎暮らし」に憧れて移ってみたら、リモートワークに耐える回線がなかった——これは実際に起こり得る。物件を探す段階で、その地域でどんなネット手段が使えるかを調べておきたい。
カナダの広さは魅力であると同時に、暮らしの基盤を不均一にする要因でもある。同じ国の中で、都市と農村のデジタル環境がこれほど違うこと。それを知ると、カナダの「広い」という言葉が、ただの褒め言葉ではなく、生活の条件そのものを左右する現実だと分かってくる。