文化・社会
バーゼルの二分割——バーゼル市州とバーゼル田園州、世界唯一の分裂州
バーゼルは1833年に都市部と農村部が分裂し、2つのカントン(バーゼル市州・バーゼル田園州)になった。世界でも珍しい歴史的分裂と、現在の在住者への影響を解説。
2026-04-29
バーゼルカントン歴史行政スイス
スイスには26のカントンがあるが、そのうち「バーゼル・シュタット(Basel-Stadt)」と「バーゼル・ラントシャフト(Basel-Landschaft)」の2つは元々1つのカントンだった。1833年に市民革命的な動きで農村部が分離独立し、以来2つの独立したカントンとして存在し続けている。
再統合の住民投票が何度か行われたが、いずれも否決されている(直近の大規模な投票は2014年)。
実際の違い
2つのカントンは税率・政治文化・生活コストが異なる。
バーゼル市州は都市型カントンで、製薬産業・国際機関・アート施設が集中している。人口約18万人。個人所得税率は中程度。
バーゼル田園州は郊外・農村型で、家賃が安く広い住宅が持てる。市州で働きながら田園州に住む「通勤型移住」をする在住外国人も多い。
在住者への影響
カントンが違うと確定申告先・医療補助申請先・子どもの学校区域が変わる。バーゼル市州側に職場があって田園州側に住む場合、通勤は便利だが行政手続きは居住カントンに合わせる必要がある。
税率の違いも重要で、バーゼル田園州は市州より一部の所得区分で税率が低い。高収入の外国人専門職がわずか数駅違いの田園州を選ぶ理由の一つになっている。
分裂した都市に住むということは、どちらのカントンを選ぶかという行政上の選択から始まるスイスらしい話だ。
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